『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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賢者リノア

白と黒の才能

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「白と黒っ!?いえ、そんなわけないじゃないですか!そんなことが出来るのは『賢者』くらいですよ!実際にそうなら大変なことですよ!!」


リノアは思わず大声を出していた。それだけゴウキが言った言葉がとんでも無かったからだ。
白魔法と黒魔法、両方が使える魔法使いというのは普通存在しない。それが出来るのは『賢者』と呼ばれる、魔法使いというランクを遥かに超越した存在だけなのだ。無論、そんな『賢者』がいるとなると学園中が大騒ぎになるレベルの事件となる。
『賢者』どころか、白魔法士にすらなれていないリノアは、ゴウキの言っていることが嫌味にすら感じていた。


「揶揄うのはやめてください!」


拒絶。
わけのわからないことを言って、自分を乱してほしくなかったリノアは全力でゴウキを拒絶した。
気を持たされて後で絶望させられるような、そんなことはもう経験したくなかったのだ。それならば夢など見ないほうが良いと。


「けどアンタから白と黒両方の魔力が視えるのは確かなんだよ。もしかしたら『賢者』とやらなんじゃねーか?」


しかしゴウキも退かない。
正面からリノアの顔を見据え、そして迷い無い口調ではっきりと言った。


「両方の魔法が使えると俺は思う。試してみてもいいんじゃねーか?」


「・・・っ!」


いい加減にしてほしい。
そう叫んでこの場から去りたいと思っていたリノアだったが、そうはしなかった。
何故だか知らないが、ついついゴウキの言うことに耳を傾けてしまうのだ。魔法のことはよく知らないというゴウキなのに、妙に彼の言葉には説得力があるように感じたのだ。


「無理ですよ・・・白魔法だって私は使えないんですよ。どれだけ練習したって上達しなかったんです・・・」


それでも、ゴウキの言うことをそのまま飲み込むことは出来ずにリノアはそう言って拒絶する。


「黒魔法も練習しなきゃいけないとか、そういうのじゃねぇのか?」


「えっ?」


「白魔法と黒魔法、両方同じよう伸びるようにして行かないといけないとか、そういうのがあるんじゃねぇか?体の鍛錬だってそういうのがあるみたいだしな」


「そんなまさか・・・」


体の鍛錬と同列に話をしてくるゴウキに「これだから無知な人は」と言いたくなる。
だが、どれでも駄目で元々。
目の前の魔法の素人の言うことに一度くらいは付き合ってもいいか・・・ このときのリノアはそのように考えていた。

誰一人として自分の魔法士としての才能を信じてくれなかったというのに、ゴウキだけは才能を確信してくれたのだから。
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