『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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賢者リノア

青天の霹靂

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実技はともかくとして、リノアの魔法に対する知識は本物だった。

周囲には怪訝な目を向けられたが、リノアは結局王都の学園の入試は問題なくパスすることになる。それも特別奨学金を受けられる特待生だ。
授業料免除に加え、王都での生活費もある程度が支給されるという破格の待遇を得ることが出来たリノアは、両親に迷惑をかけないことで文句を言われることもなく上京することが出来た。

しかし、この特待生の恩恵を受けることには条件がある。
それは卒業してから国に対して一定の功績を上げることだ。冒険者としてでも、学者としてでも、とにかく国費を使って優遇した分は、きちんと国に貢献しなければならないのでこれは当たり前である。
これが叶わぬときは学費はもちろん、在学中に支給された生活費の一括返済が求められる。
得られるリターンと比例して、それなりのリスクを背負うことになるわけだが、普通の学生ならここでいくらかでもプレッシャーを感じるところだが、リノアはそうではなかった。

それというのも学園入学試験の際、王都にしかない魔力適正検査機にかけてみるとリノアには『白魔法適性有リ』という判定が出たからだ。
実技は今だ出来なくても、適正は間違いなくある・・・この事実だけでリノアは飛び上がるほど嬉しい気持ちになった。

両親はおろか、婚約を結んだトマスでさえも、リノアの白魔法士としての才能には懐疑的だ。リノアは白魔法の知識身に着けているだけの出来損ない・・・そんなイメージをこれで払拭することが出来ると晴れ晴れしい気持ちになったのだ。

トマスの嫁となるには、白魔法の知識だけでなく実際に白魔法士であることの方が有利に運ぶだろう。トマスの両親に結婚を認められることが難関であったが、障害が一気になくなったかのようにこのときのリノアは『錯覚』していた。
『白魔法適性有リ』と判定されたリノアだが、結局彼女は入学して一年が経過して授業を受け続けても、実際に魔法を使うことが出来なかったのだ。

リノアは再び自身を無くし、殻に閉じこもろうとしていた。
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