『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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忍者スミレ

うまくいかない許嫁

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「スミレぇ・・・!」


サスケは頭の中でかつてのスミレの姿を思い浮かべる。常に従順で、自分を立てることを忘れずに付き従っていた彼女を。

故郷ではモチヅキ家と並んで忍者の名家として栄えていたハットリ家の次男であったサスケは、スミレほどではないが才ある者として名を轟かせていた。
そんなサスケとスミレの縁談が結ばれると、サスケはそれを誇りに思った。器量良しで、従順で、忍者としての才もある。そして忍者としての名家であるモチヅキの娘である。

サスケが婿入りすることで、サスケはモチヅキ家の当主になることが概ね約束されている。
スミレには男兄弟がいるが、いずれも忍者としての才はスミレはおろかサスケにも及ばないからだ。しかしあくまで位置づけとしては「最有力候補」でしかない。

サスケは忍者としての才はあったが、次男であったために常にハットリ家ではぞんざいに扱われていた。そんな彼は常々モチヅキ家の当主になることでハットリの家を見返してやろうと考えていた。
それだけはない。モチヅキ家を今より更に隆盛させ、サスケの名を知らぬほどがいないほどに轟かせてみせようと野心を抱いていたのだ。

そして、その思考は運よくモチヅキ十勇士の連中と利害が合致する。
十勇士達はモチヅキの現当主でありスミレの父であるシンゾウの保守的な方針に疑問を抱いていたからだ。

忍者は東方の国でいえば数多くの実績を持つ隠密集団であるが、世界的にみればまだまだ知名度は低い。サスケはモチヅキ家の当主となった際は、忍者の斥候や隠密としての能力を、世界の要人や貴族に売り出していこうという方針で考えていた。

それに難色を示しているのがシンゾウだが、サスケさえ当主になればその計画実行を押し切ることが出来る。
サスケも十勇士も前のめりになっており、いつ終わるかもわからぬスミレの突然の気まぐれに付き合う気はなかった。

だからさっさと終わらせたくてサスケは大胆にも自ら十勇士を借りて出向き、スミレを力づくでも帰郷させようとしたのだが・・・

現状、既に十勇士4人が死亡。
これがサスケの強引な行動の結果として大きくマイナスに捉われれば、モチヅキ家当主の座が危うい。
これ以上の失態はなんとしても塞がねばならないが、まだスミレは捕まらない。

サスケは思うようにいかない現実の要因は、スミレにあると殺意さえ芽生えさせていた。
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