『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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忍者スミレ

跳ねっ返り

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「スミレ・・・?」


目の前で信じられないことが起きたサスケは、迂闊にも少しばかり取り乱してしまっていた。
それは十勇士達も同じ。
その隙にスミレは素早く跳躍し、彼らから距離を取ることに成功した。


「・・・」


投げナイフが頭部に刺さり、絶命した十勇士を見やり、サスケは目を見張った。


「スミレ。君は今、自分が何をしているのかわかっているのかい?」


サスケの問いに対し、スミレは中指を立てながら挑発的に顔を歪めて答える。


「あぁ?そりゃあ人の家に勝手に侵入したり、脅しつけてきたり、仲間を巻き込もうとした不届きモンをぶっ殺した。それだけのことだろ?」


言葉遣いがここ最近のそれに戻っている。
ここでサスケ達は先ほどまでの従順なスミレの態度が、自分達を油断させるためであったことに気が付いた。

屈服などしていなかった。
頭を下げたのはあくまで飛びナイフの罠を発動させるための目晦まし兼回避行動で、実のところは全くサスケ達の言いなりになるつもりはなかったのだ。


「スミレ・・・!」


してやられたことにサスケは激しい憤りを感じていた。
忍びである以上は常に冷静であることが求められるはずだが、それでも自分の許嫁・・・所有物だと思っていたスミレに手を噛まれたことは、サスケとて制御できないほどの怒りを沸き立たせていた。


「・・・飛んだ跳ねっ返りぞな。こりゃ少しばかり手厳しくしないといけないかね」


「ちょっとばかり手荒くするし、傷物になるかもしれん。それでも良いかねサスケさん」


十勇士達が臨戦態勢に入る。
サスケがNOと言ったところで勝手に動きそうな勢いだ。


「かまいません。懲らしめてやりましょう」


サスケがそう言うと、残った十勇士達9人は一斉にスミレに飛び掛かった。


ドゥン!


瞬間、スミレのいたところが爆発したかと思うと、スミレの姿は一瞬のうちに消え失せた。
十勇士のうちの誰かの攻撃ではなく、スミレが逃走するための目晦ましである。


「逃がさんよ!」


十勇士の中でも一際鼻の利く者がスミレの匂いを追う。
姿を消したところで、スミレがいた痕跡はしっかりと残っているのだ。


「あっちだ!」


彼が向かったのは、人の気配のない家・・・空き家だった。そこに半開きになっているドアがあり、スミレがそこに身を潜めたばかりであると見て取れる。


「あっ・・・?」


しかし空き家に踏み込んだ瞬間、彼の体は爆発に巻き込まれた。
その空き家には、建物そのものを吹き飛ばすほどの威力の爆弾の罠が仕掛けられてあったのだ。
獲物を追い詰めたと錯覚したその十勇士は、何が自分の身に起きたのか理解し終える前に体を四散させて絶命した。


「逃げる?いいや、徹底的におめぇらぶっ潰してやんよ」


それを物陰から見ていたスミレは、その身を音もなく潜めさせた。
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