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忍者スミレ
ツケを払うとき
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「どうしたんですかスミレ先輩。顔色が悪いですよ」
故郷のモチヅキ家の者が来ていることを知ったスミレは、思わずリノアに心配されるほど真っ青な顔をしていた。
常に冷静であれ、と心の修養をつけてきたスミレだが、今の状況は普段の彼女とは到底かけ離れた精神状態になるまで追い込まれている。
「なんでもねーよ。ちょっと外出て来るわ」
スミレは素っ気なくそう言うと、つかつかと歩いて玄関へ向かう。
屋敷にいてはいけない。仲間や使用人に話をしてもいけない。彼らを巻き込んではいけない・・・そういう思いが、「とりあえず外に出なければ」とスミレを駆り立てていた。
仲間達は強いが、モチヅキ家からやってきた・・・恐らく十勇士となれば流石に危うい。十勇士とはスミレから見てもそう思わせるだけの実力者たちだった。
「おっ・・・?」
玄関から外へ出ようとした瞬間、スミレは今最も会いたくない人物と行き違うことになった。
「ゴウキ・・・」
よりによって勘が鋭いゴウキに出会ってしまったことに、スミレは複雑な気持ちになった。
何も悟られぬまま、この場をやり過ごしてしまいたい気持ちと、今すぐに縋り、助けてもらいたい気持ち・・・この二つがせめぎ合っていた。
「どうした?何かあったか?」
皮肉なことに、そんな一瞬の迷いがスミレに何かがあったことをゴウキに感づかせた。
スミレは思わずゴウキに話してしまおうか・・・と少しだけ考えるが、何事も無かったかのように振る舞う。
「いや、ちょっとめんどくせー依頼があって、それをこなしに行くんよ」
スミレは貴族とのパイプ作りのために、ゴウキ達が絡まぬ個人の依頼を受けることがあった。なのでこのやり取りもそれほど違和感のあるものではない。
モチヅキの家のことは個人の問題だ。自分が解決せねばならぬことだ。
だから、スミレはゴウキには頼らず、自分一人で全て処理することに決めた。金だけ送って有耶無耶にしようと、いずれ終わりが来るとわかっていても今を楽しもうと、そう現実逃避していたツケを払うときが来たのだ。そう考えた。
故郷のモチヅキ家の者が来ていることを知ったスミレは、思わずリノアに心配されるほど真っ青な顔をしていた。
常に冷静であれ、と心の修養をつけてきたスミレだが、今の状況は普段の彼女とは到底かけ離れた精神状態になるまで追い込まれている。
「なんでもねーよ。ちょっと外出て来るわ」
スミレは素っ気なくそう言うと、つかつかと歩いて玄関へ向かう。
屋敷にいてはいけない。仲間や使用人に話をしてもいけない。彼らを巻き込んではいけない・・・そういう思いが、「とりあえず外に出なければ」とスミレを駆り立てていた。
仲間達は強いが、モチヅキ家からやってきた・・・恐らく十勇士となれば流石に危うい。十勇士とはスミレから見てもそう思わせるだけの実力者たちだった。
「おっ・・・?」
玄関から外へ出ようとした瞬間、スミレは今最も会いたくない人物と行き違うことになった。
「ゴウキ・・・」
よりによって勘が鋭いゴウキに出会ってしまったことに、スミレは複雑な気持ちになった。
何も悟られぬまま、この場をやり過ごしてしまいたい気持ちと、今すぐに縋り、助けてもらいたい気持ち・・・この二つがせめぎ合っていた。
「どうした?何かあったか?」
皮肉なことに、そんな一瞬の迷いがスミレに何かがあったことをゴウキに感づかせた。
スミレは思わずゴウキに話してしまおうか・・・と少しだけ考えるが、何事も無かったかのように振る舞う。
「いや、ちょっとめんどくせー依頼があって、それをこなしに行くんよ」
スミレは貴族とのパイプ作りのために、ゴウキ達が絡まぬ個人の依頼を受けることがあった。なのでこのやり取りもそれほど違和感のあるものではない。
モチヅキの家のことは個人の問題だ。自分が解決せねばならぬことだ。
だから、スミレはゴウキには頼らず、自分一人で全て処理することに決めた。金だけ送って有耶無耶にしようと、いずれ終わりが来るとわかっていても今を楽しもうと、そう現実逃避していたツケを払うときが来たのだ。そう考えた。
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