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ゴウキ・ファミリー
女の戦い その7
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「ひょえーっ あの女意外とタフですね」
リフト達がスミレの毒で倒れ伏した頃、リノアは猛烈に迫るクレアから距離を取りながら攻撃魔法を繰り出していた。
人通りの少なく拾い場所を選び、他人の被害の出ないように配慮をしながら戦っているが、リノアの攻撃魔法に対してクレアは時に躱し、いなし、斬り裂き、あの手この手で直撃を避けている。
リノアは街中であり建物や通行人がいる以上、それほど強大で範囲の広い攻撃魔法を打つことはできないが、それでも的を絞れてそこそこ威力のある魔法を選び攻撃していた。
クレアは直撃を今のところ避けてはいるが、それでもダメージが無いわけではない。
致命傷こそにが、皮膚の表面が焼け、吹き飛び、氷り、切り傷など無数に細かいダメージを負いながらもクレアはリノアへの追撃を止めなかった。
「ったくもう、化け物ですか!」
リノアが化け物と呼んだのはクレアのタフさからだけではない。全身に傷を負いながらも、一心不乱にリノアに迫るクレアの姿、気迫が獰猛な獣にしか思えないそれだったからだ。
強大な魔法を打てないもどかしさがリノアに募る。
しかし、それでもクレアが負っているダメージの蓄積は大きなものであるはずだった。並の冒険者なら激痛のあまり動けなくなっているはずで、そうでなくても動きが鈍っているのが当たり前である。
「ひっ!」
クレアが突進し、太刀がそれまでリノアがいたところを振り抜く。
リノアは幻影魔法を使い、自分の分身を囮にしてクレアの目を欺いていた。間一髪間に合ったが、そうでなければ今頃リノアは真っ二つだ。
「どこが勇者なんですか!とんだお転婆じゃないですか!!」
リノアはそう言いつつも氷で作った無数の鋭い氷柱をクレアに向かって放つ。当たれば串刺しであるが、クレアはその悉くを高速の剣捌きで切り落とした。
だがそれで終わりではない。直後に小さいながらも超高熱の火球がクレアに向かう。
「っ!!」
クレアは一瞬静止して詠唱したかと思うと、向かってくる火球よりも少し大きめの火球を左手から打ち出した。
ドォォォォォン
リノアが打ち出した火球とクレアが後から打ち出した火球がぶつかり合い、爆発を起こす。
リノアの火球の方が小さいながらも強力であったようで、爆炎から飛び出してなおも突進を続けるが、既にそこにはクレアはいない。
「げ!」
爆発を目晦ましにしてクレアが超速度で突進してきたことに気が付いたのは、リノアの目の前まで彼女の接近を許してからだった。
まずい!
クレアの剣がリノアを捉える・・・そう思った瞬間だった。
グンッ
剣を振ろうとするクレアの腕の動きが止まる。
「ったく、アブねぇな!貸し一つだかんな!!」
ギリギリのタイミングで合流したスミレが糸を使ってクレアの動きを封じることによって、どうにかリノアの窮地を救っていた。
「はい、助かりました!」
リノアは礼を言いながら、動きの鈍くなったクレアの足を冷気の魔法で凍らせる。そして更に動きの悪くなったところで、スミレが更にクレアを糸で絡めとった。
(ちっ、こいつ毒が効いてねぇのか!?)
リフト達も難なく落とした毒だったが、クレアに効いている様子がないことにクレアは驚愕する。
しかし驚いてばかりもいられない。狂暴とさえ言えるほどの闘志を燃やしているクレアを黙らせるために、スミレは糸を使って彼女を何重にも拘束する。
リノアもそれに続いてクレアを凍らせるべく冷気を浴びせ続ける。
クレアはなお暴れようとしていたが、流石に多勢に無勢・・・最後はその動きを止めることになった。
リフト達がスミレの毒で倒れ伏した頃、リノアは猛烈に迫るクレアから距離を取りながら攻撃魔法を繰り出していた。
人通りの少なく拾い場所を選び、他人の被害の出ないように配慮をしながら戦っているが、リノアの攻撃魔法に対してクレアは時に躱し、いなし、斬り裂き、あの手この手で直撃を避けている。
リノアは街中であり建物や通行人がいる以上、それほど強大で範囲の広い攻撃魔法を打つことはできないが、それでも的を絞れてそこそこ威力のある魔法を選び攻撃していた。
クレアは直撃を今のところ避けてはいるが、それでもダメージが無いわけではない。
致命傷こそにが、皮膚の表面が焼け、吹き飛び、氷り、切り傷など無数に細かいダメージを負いながらもクレアはリノアへの追撃を止めなかった。
「ったくもう、化け物ですか!」
リノアが化け物と呼んだのはクレアのタフさからだけではない。全身に傷を負いながらも、一心不乱にリノアに迫るクレアの姿、気迫が獰猛な獣にしか思えないそれだったからだ。
強大な魔法を打てないもどかしさがリノアに募る。
しかし、それでもクレアが負っているダメージの蓄積は大きなものであるはずだった。並の冒険者なら激痛のあまり動けなくなっているはずで、そうでなくても動きが鈍っているのが当たり前である。
「ひっ!」
クレアが突進し、太刀がそれまでリノアがいたところを振り抜く。
リノアは幻影魔法を使い、自分の分身を囮にしてクレアの目を欺いていた。間一髪間に合ったが、そうでなければ今頃リノアは真っ二つだ。
「どこが勇者なんですか!とんだお転婆じゃないですか!!」
リノアはそう言いつつも氷で作った無数の鋭い氷柱をクレアに向かって放つ。当たれば串刺しであるが、クレアはその悉くを高速の剣捌きで切り落とした。
だがそれで終わりではない。直後に小さいながらも超高熱の火球がクレアに向かう。
「っ!!」
クレアは一瞬静止して詠唱したかと思うと、向かってくる火球よりも少し大きめの火球を左手から打ち出した。
ドォォォォォン
リノアが打ち出した火球とクレアが後から打ち出した火球がぶつかり合い、爆発を起こす。
リノアの火球の方が小さいながらも強力であったようで、爆炎から飛び出してなおも突進を続けるが、既にそこにはクレアはいない。
「げ!」
爆発を目晦ましにしてクレアが超速度で突進してきたことに気が付いたのは、リノアの目の前まで彼女の接近を許してからだった。
まずい!
クレアの剣がリノアを捉える・・・そう思った瞬間だった。
グンッ
剣を振ろうとするクレアの腕の動きが止まる。
「ったく、アブねぇな!貸し一つだかんな!!」
ギリギリのタイミングで合流したスミレが糸を使ってクレアの動きを封じることによって、どうにかリノアの窮地を救っていた。
「はい、助かりました!」
リノアは礼を言いながら、動きの鈍くなったクレアの足を冷気の魔法で凍らせる。そして更に動きの悪くなったところで、スミレが更にクレアを糸で絡めとった。
(ちっ、こいつ毒が効いてねぇのか!?)
リフト達も難なく落とした毒だったが、クレアに効いている様子がないことにクレアは驚愕する。
しかし驚いてばかりもいられない。狂暴とさえ言えるほどの闘志を燃やしているクレアを黙らせるために、スミレは糸を使って彼女を何重にも拘束する。
リノアもそれに続いてクレアを凍らせるべく冷気を浴びせ続ける。
クレアはなお暴れようとしていたが、流石に多勢に無勢・・・最後はその動きを止めることになった。
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