『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

クレアの多難 その8

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クレアが裏付け調査を行ってから翌々日、彼女率いる勇者パーティーの集合の日になった。


「・・・はぁ」


まだ他に誰も来ていないパーティーの拠点の部屋で一人、クレアは疲れたように溜め息をつく。
裏付け調査を行った翌日、クレアは少しばかり調べものをしたり、いろいろと考え事にふけっていた。肉体的には休めているが、頭のほうはちっとも休まっていない。むしろ遠征から帰還している道中の方がずっと楽だったと言える。

噂の裏付けが終わった後ゴウキ・ファミリーについて少し調べてみた結果、ザッと調べただけでも既にそこそこの経済力と軍事力を持っていることが判明した。
ゴロツキどもの戦闘力は未知数だが、ゴウキ自身は言わずもがな、彼を慕って集まったゴウキ・ファミリーの初期メンバーも相当に強いという。
冒険者は魔物の素材などをギルドに持ち帰って換金するが、その一度の換金額もバルジ王国での新記録を更新したというのを聞いたときはクレアも驚いた。

ゴウキ・ファミリーはゴウキだけが実力の突出した烏合の衆ではない。その幹部と思わしき連中も相当に手強そうだということ気付いたクレアは、この問題は自分だけでは解決できないことを悟った。
ゴウキが暴力によって王都の治安を脅かしているのであれば、強制的にでもそれを排除しなければならない。しかしそにはそれを越える力を持つ必要がある。で、あればクレア一人ではなく、勇者パーティー総出で取り掛からなければならない。

クレアは今回のパーティーの集合で打倒ゴウキ・ファミリーをメンバーに呼びかけるつもりでいた。
『魔人』対策に仲間に引き入れたいとしていた人物と、むしろ敵対することになってしまうことになるが、それでも良いかメンバーに是非を問わねばならなかった。


「仕方がないことよね・・・」


クレアは既に半分ほどゴウキの復帰については諦めをつけている。
確かに戦力としては頼りになるが、道理を踏み外した男をそのまま仲間にして連れていく気にはならないからだ。
説得し、ゴウキが改心してくれるならそれでも良い。だが、恐らくそう簡単にはいかないだろう・・・
ゴウキを力で一度制し、ゴウキ・ファミリーを解体する必要がある。そうすれば王都に平和が戻ってくるが、もう彼を勇者パーティーの一員として戻すことは不可能になるだろう。世間体がそれを許さないし、そうまで拗れればゴウキ自身もそれを望むまい。

クレアはゴウキとの決別を覚悟してでも、それでも勇者としての自分の矜持を曲げるつもりはなかった。この決断をするために悩みに悩み、目の下にはクマが出来ている。
メンバーが集まれば、クレアは事の次第を話し、この決意を聞いてもらうつもりだった。

だが、この後パーティーメンバーが集まったとき、クレアはとあることで驚愕して腰を抜かしそうになるのだった。
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