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ゴウキ・ファミリー

セントラルギルドの変化 その8

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「・・・なんだと?」


セントラルギルドのギルドマスターであるフミオンは、執務室で部下の報告を聞き、額に青筋を立てていた。
部下が報告したのは、先に行われたセントラルギルドとレジプスとの取引における商談の結果についてである。


「はい、レジプス側としてはこれまで通りの単価での取引は応じるものの、値上げには一切応じられないと。それに、取引量も従来より25%ほど少なくしたいとのことです」


部下は淡々と報告する。この部下は以前は悪い報告をするときはフミオンの機嫌を伺ってオドオドしていたものだが、もうどのように報告したところでフミオンの雷が落ちるのはわかりきっているので、もはや無の境地で淡々と報告書を読み上げていた。


「商談にはシィルが当たったんだよな!?アイツは何をやってるんだ!値上げして損失を補填しないといけないところを、値は据え置きの上で取引量が減るだと!?俺があれだけ発破かけたのにこのザマか!!?」


「ギルド長。実はそれについてはもう一つ報告がありまして」


「なんだ!?」


「レジプスとしては今回はこの単価での取引に応じるものの、次回分からは値下げを要求することになるとのことです。応じられない場合、取引の停止もやむを得ないと」


「・・・はぁ~~?」


フミオンは自分の耳を疑った。
レジプスは上玉の取引相手だが、力関係としては完全にセントラルギルドが上で、搾取しているとさえ言って良い状態だった。それだけスライムジェルの単価を上げたところで、レジプスとしては必需品だから必ずセントラルから買わなければいけないはずだった。
それが、今は値下げを要求してくるどころか、取引の停止も辞さないと言ってきている。一体何が起こっているのかフミオンには理解できなかった。


「他に安く卸してくれる取引先が見つかったとて、ウチのように安定して大量に卸すことなどそうそうできるものじゃないだろう!」


「その辺については現在調べております。いずれにせよ、現状ではどれだけ交渉してもレジプス側の態度は変わらないと思われます」


「ぐぬぬ・・・シィルめ!色気が取柄なのだから、相手を色仕掛けしてもう少し有利に運んだらどうなのだ!役立たずめ!!」


フミオンは怒りで顔を真っ赤にするが、実のところこの交渉結果もシィルが泣きの最終手段としてから勝ち得た結果であったのだ。そうでなければ現段階で値引きしなければ取引の成立すらしなかっただろう。


こうしてセントラルギルドは、従来通りのスライムジェルの取引にすら漕ぎつけなくなり、資金繰りが一気に悪化したのであった。
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