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ゴウキ・ファミリー

セントラルギルドの変化 その7

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「・・・ふぁっ!?」


あくまで交渉のイニシアチブはギルドに在り。
故にあくまで余裕の表情を崩さなかったシィルが、ハレイドの言葉を意味をやや間を置いてから理解し、初めて表情を崩して素っ頓狂な声を上げた。それだけシィルにとってハレイドの発言は彼女にとって衝撃的だったのだ。


「御社にはこれまで長きに渡りお世話になり続けてきましたが、今回のところは縁が無かったというところで・・・」


「ま、待ってください!」


商談を終えようとするハレイドにシィルは慌てて待ったをかける。
まだ状況が完全に把握できていないシィルだったが、商談そのものをここで終わらせてはいけないことだけは理解できていた。
割高どころか取引そのものが無くなってしまうのでは、大目玉どころでは済まなくなってしまう。それだけスライムジェルの取引におけるセントラルギルドの儲けは大きいのだ。


「あの・・・一体どういったことでしょうか。何か問題でもありましたでしょうか?」


最初に値上げを持ち掛けておきながら、図々しくもシィルは問う。彼女は予想だにしなかったあまりの出来事に冷静さを欠いていた。
そんなシィルに、ハレイドは席を立とうと浮かしかけた腰を戻し、穏やかな笑みを浮かべながら口を開いた。


「問題・・・と言いますか、最近我が国のスライムジェルの輸入事情が劇的に改善したのです。今のセントラルギルド様からより安価で、かつ大量に輸入できるツテが出来ましたので、今までと同じ金額で輸入する必要が無くなくなったのです」


「なっ・・・!」


シィルはショックを受けた。
レジプスのスライムジェル不足は深刻で、何十年とバルジ王国からの輸入をメインに頼ってきたからである。
まさかそれが何の前触れもなく解決するなどと誰が考えるだろうか。


(ライバルからのダンピング・・・?いや、そんなまさか・・・)


顎に手を当てシィルは考えるが、しかしすぐに我に返る。
今はそんなことをしている場合ではないからだ。


「これまでの御社との付き合いもありますので、ある程度の取引は残したいとレジプス王家は考えておいでです。しかし、金額面では現状ままというわけにも・・・」


「か、価格のほうはすぐに見直させていただきます!ですから、少し待っていただけますでしょうか!!」


最初に頃に余裕のあった態度はどこへやら。
シィルは必死の形相でハレイドに食いついていた。ここでレジプスとの契約が取れなければ、ギルドの連中は明日からもやしを食べて生活していかなければならないレベルにまで困窮することになってしまうのだ。
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