『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

セントラルギルドの変化 その6

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「え・・・?あの、申し訳ありませんが、もう一度おっしゃっていただいてもよろしいでしょうか?」


レジプスの役人との商談中、シィルは自身の聞き取りが悪かったのだと本気で思い、無礼を承知でそう言った。


「はい、値上げには応じかねますと言いました」


レジプスの役人、ハレイドは微笑を浮かべながらきっぱりと言った。
一切の交渉には応じかねる。その意志がはっきりと伝わる物言いであった。


「はぁ・・・ですが、先にも説明いたしました通り、当ギルド・・・というより我が国のスライムジェルの需要の増加に伴い、全体的に値段が高騰しておりますので、現状ままの金額では取引が出来なくなってしまいます」


シィルは頬を引き攣らせながら、それでもどうにか冷静さを保って話を続ける。


(はぁ?スライムジェルなら言い値で買う上客が、何で今回に限ってぐずり出すのよ!?)


商談の場では常に格下として見なしていたレジプスが、今回は値上げにガンとして応じようとしないことにシィルは内心激昂しそうになっていた。


「申し訳ないのですが、こちらもスライムジェルの供給事情が変わってきまして。むしろ今回から値下げの方をお願いできないかと思い、参った次第です」


「えっ?」


値上げを蹴られるどころか、値下げを要求されたことにシィルは唖然とする。
今回の取引で収益を上げないといけないというプレッシャーをかけられていたシィルは、このまるで想定していなかった事態に混乱していた。
・・・が、それでも一瞬にして気を取り直す。


(もしかして、試しに交渉してみようってハラなのかしら?身の程知らずであることを教えてあげるわ)


レジプスは自国でスライムジェルが採取できない。そして近隣国で最も近く、大量のスライムジェルを輸出してくれるのはバルジ王国・・・セントラルギルドなのである。スライムジェルは生活必需品であり、需要が枯渇することは絶対にない。だからいつだってレジプスとの商談ではセントラルギルドが圧倒的に有利であるのが当然なのだ。


「そうですか・・・しかし、そう申されましても、こちらとしては如何ともしがたく。これでは残念ですが取引を停止することになってしまいます」


毅然とした態度でシィルは言った。
セントラルギルドが譲歩する必要はない。むしろ値上げを飲ませて然るべきなのである。そう考えていたシィルは、ハレイドの次の言葉を聞いて硬直してしまった。


「わかりました。それでしたら、今回を限りにスライムジェルの取引のほうは停止しましょう」
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