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ゴウキ・ファミリー

スミレの計画 その12

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スミレの方針が決まった。
ゴウキを誘導し、半グレどもによって構成された治安部隊の頭に据える。
適度に頭が悪く、無能なやつを見つけなければならない。
反骨心は強すぎないほうがいい。逆らってくるから。
ぬるま湯に浸からせれば、その状況にどっぷり依存する程度の怠惰で無能な人間を集める必要がある。


・・・口にしてみればこれほど微妙な匙加減の人間など簡単に見つかるのだろうか?と、スミレは後になって冷静になった。
しかし既に決めてしまったものは仕方がない。他にゴウキを勇者クレアの元に行かせないための作戦も思いつかない以上、スミレはとりあえずこれで進んでみることにした。そうでなくてはイチモツを切り取られた男達が浮かばれない。
とりあえず構成員については置いておくとして、ただの冒険者としてありたいとしているゴウキを組織の頭にするように誘導していかなければならない。これが急務であった。
無欲、あまり群れたがらず、出世意欲も薄いゴウキを誘導することは並大抵の苦労じゃないなとスミレはげんなりしながら、それでも虎視眈々とその機会を伺うのであった。




ーーーーー


「いいかジロキチ。ちゃんと見張ってるんだぞ」


スミレは子飼いにしている小動物・・・小さな風呂敷のようなものを頭に巻いた鼠にそう声をかける。
この鼠の名前はジロキチ。情報収集のために王都中を放してある烏とは別に、ゴウキの動きを把握するために訓練された鼠である。
烏では夜にはゴウキの見張りをすることができないため、この鼠をゴウキに張り付かせることにしたのだった。リノアほどがっつかないだけで、スミレも相当にゴウキへの愛情が深くヤバイことをしている。
とはいえ忍者とは概ねストーカーのようなもの。対象が自分の意中の男になっただけなのだ問題ない・・・とスミレは自分に言い聞かせる。

このジロキチの活躍によって、ゴウキは組織というものを持たなければならないことを意識するようになったことをスミレは知ることが出来た。ディックとの酒場での話し合いの内容をスミレが把握していたのは、この鼠の偵察によるものである。

そして奇跡というべきか、うまい具合に構成員に相応しい人材まで見つけることが出来、結局全部スミレの思う通りに事が運んだのである。

歴史の影にはいつだって悪女がいるという言葉があるが、やがてゴウキの名が轟いたその時、スミレのこともそのように言われることがあるのだろうか?そのことはまだ誰にもわからない。
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