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ゴウキ・ファミリー

スミレの計画 その10

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「あ・・・いけね、少しやり過ぎちまったか・・・」


ハッと正気の戻ったとき、スミレは自分を追剥ぎしようとしていた男達全員を徹底的に痛めつけた後だった。ナンパ男アレスに進路変更と称してあれこれ移動させたときに、実は戦闘になったときのことを踏まえてスミレの武器の一つである糸を辺り一帯に張り巡らせておいたのだが、それを巧みに利用することで逃げ出せないリングを簡易的に作り出し、誰一人逃がすことなくスミレは制裁を加えた。

今回は他に誰も巻き込んでないし、少しキツめのお仕置きで済ませてやろうかと当初は考えていたものの、コンプレックスに感じていた胸のことを指摘されたことがきっかけになってしまったのか、つい熱が入ってしまい、気が付けば全員顔の原型がわからなくなるくらいボコボコにぶん殴ってしまっていた。つくづく忍者らしからぬスミレである。


(しかし・・・)


スミレは打ちのめされてノビている男達・・・総勢20人弱の半死体を見て思った。


(こいつら弱いからまだいいが、まだこんなのが王都中にのさばってんのか・・・?)


王都の治安が今良くないことになっていることは知っているつもりだったが、スミレは実際にその片鱗を目の当たりにしてゾッとした。
以前アンドレを釣るためにそこそこ王都中を動き回り、悪さをする半グレを叩いて叩いて叩きまくってきたはずだったが、悪党の数が減るどころか増えているまであった。統制が効かなくなっているので、それぞれ思い思いに場当たり的に犯罪行為を繰り返し、日銭を稼ごうとしている連中が増えていたのだ。このままでは王都全体が第4区のようなスラム街みたいな治安になってしまうのではないか、そう考えていた人間も少なからずいた。


(けど、全部片づけるのは難しーだろーな)


金が無いから、仕事がないから半グレどもは犯罪に走る。統制を取る者がいないので、それこそ後のことを考えずに好きなようにやる。
憲兵に突き出したところで、刑期を終えたら再び同じように犯罪に手を染める可能性が高かった。いや、今憲兵は騎士団ごと機能不全に陥っているので、そもそもまともに収監してくれるかすら怪しい。


「・・・しゃーねぇ、とりあえずこいつらは二度と悪さしねぇように徹底的に壊しとくか」


なんてことにように言うスミレの言葉を聞いていたアレスは、顔をボコボコに腫らして意識が遠のいていたが、スミレの不穏な雰囲気に反応し、即座に飛びのいた。そしてそのまますかさず土下座の姿勢に入り、地面に頭をこすりつけたのだった。


「許してくださいっ!なんでもしますから!!」




普通なら話をすることもなく、とっとと制裁を実行するスミレだが、このときは少し違った。
ひらめくものがあったからである。
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