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ゴウキ・ファミリー
スミレの計画 その8
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「なぁ、君・・・貴族令嬢か、裕福な商人の娘だろ?」
ナンパ男は確信を持っているかのように自信満々な態度でそう言った。
「は・・・?」
対してスミレは呆れ顔である。何をどう見たら自分が貴族令嬢になぞ見えるのか?と、そこまで考えて、スミレは「アッ」と思わず声を洩らす。一つのことに気付いたのだ。
「しらばっくれても駄目だよ。君の身に着けているそれもこれも、どれも市井には手が出しづらい高級品じゃないか。僕は目が利くんだ」
ナンパ男の目はスミレの装飾品に向けられていた。
イヤリング、ブレスレット、髪飾り・・・全てがシンプルで控えめなデザインでありながら、見る人が見ればわかる巧の技が効いた高級品であったのだ。
ついでに服も質素なようでいて、軽くて頑丈な素材で出来ているこれまた高級品である。
(あー、そういえばあれもこれも値段見て買ったわけじゃないから、んなこと気が付かなかったわ)
スミレは町を出歩いてなんとなく気になった店に適当に入り、直感で衝動買いしたものを見に着けていた。懐具合はそこらの貴族よりも充実しているので、特に値段を気にすることもなかったのだ。
要するに今のスミレは、見る者が見れば「金が歩いている」ような状態なのである。
(なるほど、そりゃ大人数で囲ってでも追剥ぎしたくもなるか)
わざわざ面倒に巻き込まれるような恰好をしてきてしまったスミレは、流石に己の迂闊さを呪った。
今のスミレはリスクのある昼間に仕掛けてでも、十分にリターンのある標的である。
「駄目だよ・・・君みたいな人が、護衛も連れずにこんな無防備に知らない人間についてきては」
ナンパ男がそう言うと、今度は物陰から武器を持った男達が姿を現す。
(おいでなすったか)
全方向を取り囲むように姿を見せた男達を見て、スミレは嘆息しそうになった。
身のこなしを見て、素人に毛が生えた程度の戦闘経験しかないと確信する。まさしく半グレの一部だろうとスミレは思った。
アンドレの逮捕をきっかけに崩壊するどころか、むしろ活発化している連中もいるとスミレは小耳にはさんでいたが、まさに彼らがそうかと考える。
「ま、護衛がついたところで俺らが排除して終わりだけどな」
粋がってそう言う男に、スミレが冷たい視線を向ける。
(お前にゃ無理だよ・・・)
剣を持っているが、相手を非力な女と勘違いしているとはいえ、構え方が雑なのをスミレは見て思う。
訓練された騎士に返り討ちに遭うか、あるいは数の力で押し切るにしても、騒ぎになってどのみち追剥ぎは無理だろう、と。
ちょっと痛めつけて地獄を見せてやろうとしたけど、徹底的に教育しないと野放しにするとヤバイやつなのでは?
スミレは渋面してそう考えていた。
ナンパ男は確信を持っているかのように自信満々な態度でそう言った。
「は・・・?」
対してスミレは呆れ顔である。何をどう見たら自分が貴族令嬢になぞ見えるのか?と、そこまで考えて、スミレは「アッ」と思わず声を洩らす。一つのことに気付いたのだ。
「しらばっくれても駄目だよ。君の身に着けているそれもこれも、どれも市井には手が出しづらい高級品じゃないか。僕は目が利くんだ」
ナンパ男の目はスミレの装飾品に向けられていた。
イヤリング、ブレスレット、髪飾り・・・全てがシンプルで控えめなデザインでありながら、見る人が見ればわかる巧の技が効いた高級品であったのだ。
ついでに服も質素なようでいて、軽くて頑丈な素材で出来ているこれまた高級品である。
(あー、そういえばあれもこれも値段見て買ったわけじゃないから、んなこと気が付かなかったわ)
スミレは町を出歩いてなんとなく気になった店に適当に入り、直感で衝動買いしたものを見に着けていた。懐具合はそこらの貴族よりも充実しているので、特に値段を気にすることもなかったのだ。
要するに今のスミレは、見る者が見れば「金が歩いている」ような状態なのである。
(なるほど、そりゃ大人数で囲ってでも追剥ぎしたくもなるか)
わざわざ面倒に巻き込まれるような恰好をしてきてしまったスミレは、流石に己の迂闊さを呪った。
今のスミレはリスクのある昼間に仕掛けてでも、十分にリターンのある標的である。
「駄目だよ・・・君みたいな人が、護衛も連れずにこんな無防備に知らない人間についてきては」
ナンパ男がそう言うと、今度は物陰から武器を持った男達が姿を現す。
(おいでなすったか)
全方向を取り囲むように姿を見せた男達を見て、スミレは嘆息しそうになった。
身のこなしを見て、素人に毛が生えた程度の戦闘経験しかないと確信する。まさしく半グレの一部だろうとスミレは思った。
アンドレの逮捕をきっかけに崩壊するどころか、むしろ活発化している連中もいるとスミレは小耳にはさんでいたが、まさに彼らがそうかと考える。
「ま、護衛がついたところで俺らが排除して終わりだけどな」
粋がってそう言う男に、スミレが冷たい視線を向ける。
(お前にゃ無理だよ・・・)
剣を持っているが、相手を非力な女と勘違いしているとはいえ、構え方が雑なのをスミレは見て思う。
訓練された騎士に返り討ちに遭うか、あるいは数の力で押し切るにしても、騒ぎになってどのみち追剥ぎは無理だろう、と。
ちょっと痛めつけて地獄を見せてやろうとしたけど、徹底的に教育しないと野放しにするとヤバイやつなのでは?
スミレは渋面してそう考えていた。
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