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ゴウキ・ファミリー
スミレの計画 その6
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スミレがゴウキ・ファミリーを今後どうしていくか、考えながら街を歩いていた時のことだった。
「こんにちはお姉さん!」
妙に馴れ馴れしい態度で、一人の男がスミレに話しかけてきた。
身長が高く、顔はそこそこに整っている男だった。全くスミレのタイプではないが。
「ねえ、一人?どうかな僕と遊ばない?」
あぁ、ナンパか。
スミレは目の前の男が自分に話しかけてきた理由を察して溜め息をつく。今は考え事をしていて、彼女はあまり機嫌が良いとは言えない状態だった。
だから、つい断り方にも角が立ってしまうやり方になってしまった。
「消えな」
スミレがぎろりとひと睨みする。
スミレは何度も街でナンパをされたことがあるが、機嫌が悪いときの断り方はいつもこれであった。彼女の眼力に気圧されて、並の男ならドン引きして退散。冒険者でもスミレから漂う負のオーラを察し、「これには手を出してはいけない」と危険を感じて去っていく。
ちなみに機嫌が悪くないときの断り文句は「無理(きっぱり)」だ。
何にせよスミレがこのように睨んで消えろと言えば、大概の男は消えていく。
しかし、この時ばかりは勝手が違っていた。
「おぉ、機嫌悪いの?どしたん?話聞こか?僕、落ち着いたいいとこ知ってるからさ」
ナンパ男はスミレのオーラに感じるところがないほど鈍いのか、まるで臆することなくナンパを続行した。
(ちっ、めんどくせーやつに絡まれたな)
大体はスミレのひと睨みで片がつく。
しかし稀に例外もいた。スミレに睨まれても何も感じず察しない、鈍感で馬鹿な男がそうである。
今回はどうやらその馬鹿にナンパされてしまったようだとスミレはげんなりした。
「気が変わった。別に付き合ってもいいぜ。でも、もうちょい人目のないところに行かね?いろいろ見られたら具合悪ぃーからさ」
態度を一転させてそう言うスミレに、ナンパ男は破顔した。
「あぁ、もちろんだとも。なんだ、話が早いようで何よりだよ。ちょっと人目のないところに行こうか?」
何を勘違いしたのか、ナンパ男はだらしなく顔を綻ばせながら、スミレの肩に手を置いて街のはずれに誘導していく。
スミレとてもちろん、このナンパ男の誘いに乗ったわけではない。
言っても睨んでもわからないような馬鹿に対してやることは、既に決まっていた。鉄拳制裁、これである。
かといって往来でボコボコにするわけにはいかないので、スミレは人目のないところへ移動しようと言った。それだけのことである。
(とりあえず前歯数本折っとくか・・・)
そんなことを考えながら歩いていたときだった。
「あ~・・・?」
人気のない路地に入ったところでスミレは気が付いた。
視界には入っていないが、人の気配が自分達を取り囲んでいることに。
「こんにちはお姉さん!」
妙に馴れ馴れしい態度で、一人の男がスミレに話しかけてきた。
身長が高く、顔はそこそこに整っている男だった。全くスミレのタイプではないが。
「ねえ、一人?どうかな僕と遊ばない?」
あぁ、ナンパか。
スミレは目の前の男が自分に話しかけてきた理由を察して溜め息をつく。今は考え事をしていて、彼女はあまり機嫌が良いとは言えない状態だった。
だから、つい断り方にも角が立ってしまうやり方になってしまった。
「消えな」
スミレがぎろりとひと睨みする。
スミレは何度も街でナンパをされたことがあるが、機嫌が悪いときの断り方はいつもこれであった。彼女の眼力に気圧されて、並の男ならドン引きして退散。冒険者でもスミレから漂う負のオーラを察し、「これには手を出してはいけない」と危険を感じて去っていく。
ちなみに機嫌が悪くないときの断り文句は「無理(きっぱり)」だ。
何にせよスミレがこのように睨んで消えろと言えば、大概の男は消えていく。
しかし、この時ばかりは勝手が違っていた。
「おぉ、機嫌悪いの?どしたん?話聞こか?僕、落ち着いたいいとこ知ってるからさ」
ナンパ男はスミレのオーラに感じるところがないほど鈍いのか、まるで臆することなくナンパを続行した。
(ちっ、めんどくせーやつに絡まれたな)
大体はスミレのひと睨みで片がつく。
しかし稀に例外もいた。スミレに睨まれても何も感じず察しない、鈍感で馬鹿な男がそうである。
今回はどうやらその馬鹿にナンパされてしまったようだとスミレはげんなりした。
「気が変わった。別に付き合ってもいいぜ。でも、もうちょい人目のないところに行かね?いろいろ見られたら具合悪ぃーからさ」
態度を一転させてそう言うスミレに、ナンパ男は破顔した。
「あぁ、もちろんだとも。なんだ、話が早いようで何よりだよ。ちょっと人目のないところに行こうか?」
何を勘違いしたのか、ナンパ男はだらしなく顔を綻ばせながら、スミレの肩に手を置いて街のはずれに誘導していく。
スミレとてもちろん、このナンパ男の誘いに乗ったわけではない。
言っても睨んでもわからないような馬鹿に対してやることは、既に決まっていた。鉄拳制裁、これである。
かといって往来でボコボコにするわけにはいかないので、スミレは人目のないところへ移動しようと言った。それだけのことである。
(とりあえず前歯数本折っとくか・・・)
そんなことを考えながら歩いていたときだった。
「あ~・・・?」
人気のない路地に入ったところでスミレは気が付いた。
視界には入っていないが、人の気配が自分達を取り囲んでいることに。
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