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ゴウキ・ファミリー
スミレの計画 その4
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「なんなんですか?急に私達だけに話って」
「・・・」
リノアとデニスは怪訝な顔をしてスミレを見つめている。
「ちっとこれから大事な話をするけど、ゴウキにはぜってーバラすんじゃねぇぞ」
ゴウキ達が砂漠の国レジプスを目指すほんの少し前のことである。
スミレはいつものゴウキ・ファミリーの行きつけである『カムシン』とは違う、王都第二区の中でも一区に近い、やや高級な酒場にリノアとデニスを呼び出した。
これは万が一にもゴウキと鉢合わせしないように気を遣ったからである。これからスミレがリノア達にしたい話は、ゴウキには聞かれたくない話であった。
「もう、一体なんなんですか・・・」
スミレからいつもと違う雰囲気を感じたリノアは、ぶつくされながらもテーブルの上にある上等なワインにチビッと口をつける。デニスはと言えば、ただ黙って腕組みをしたまま、スミレの話を聞く姿勢を取っていた。
スミレ達があえてゴウキ抜きで会合を開いたことはこれまでに一度も無かった。いつだって彼らの中心はゴウキであったからだ。
それが今回はスミレが只ならぬ様子でゴウキ抜きで話がしたいなどと言いだしたので、実のところリノア達は平静を装いつつも、スミレが何を言い出すのか気が気でなかった。
スミレは気つけにテーブルのグラスに注がれているワインを一気に飲み干してから、口を開いた。
「話はこれからのゴウキ・ファミリーのことだ。もしかしたら、これから大きく変わるかもしれねー・・・むしろアタシがそう誘導することになる・・・って言ったら、どう思う?」
スミレがそう切り出すと、リノアとデニスはキョトンとした。
「大きく変わるとは、具体的にどのように?」
リノアが当然の疑問を口に出す。
「・・・まだはっきりとはわからない。けど、アタシ達だけでひっそりと冒険者パーティーをやっていくことは、多分出来なくなるかもしれない」
スミレは少しだけ言いにくそうに、そう告げる。
「それで、それをやることで・・・どういったメリットが?」
次にスミレに問うたのはデニスだ。
「・・・アタシ達からゴウキを離れられなくすることができる。少なくとも、勇者パーティーに戻ることはなくならせることができる」
少し気恥ずかしそうにスミレがそう答える。
「うまく言えねぇけどさ。今あるアタシ達のこのパーティーはこのままってわけにはいかなくなるんだけど、けど、決して最終的には悪いことにはしねぇから・・・だから」
珍しく歯切れの悪いスミレだが、リノアとデニスはお互い無言で顔を見合わせてから
「別にいいんじゃないですか?」
「・・・ああ」
と、何でもない事のようにそう言った。
「え・・・?それだけ?」
今度はスミレがキョトンとした。
「よくわからないけど、スミレ先輩が言い出すからには、ゴウキ先輩のためなんですよね?ならいいじゃないですか」
「・・・今あるパーティーが変わることに思うところがないわけじゃないけど、スミレがやるなら俺達に悪いようにはしないだろう・・・?なら、俺はスミレを信じてみるよ・・・」
リノアとデニスは、詳細もわからぬうちからスミレの計画についてGOサインを出した。
あまり深く考えないというよりは、ゴウキのことを大事に思っているとわかっているスミレが決めることなら、間違いはないだろうという信頼があってのことだった。
「・・・」
リノアとデニスは怪訝な顔をしてスミレを見つめている。
「ちっとこれから大事な話をするけど、ゴウキにはぜってーバラすんじゃねぇぞ」
ゴウキ達が砂漠の国レジプスを目指すほんの少し前のことである。
スミレはいつものゴウキ・ファミリーの行きつけである『カムシン』とは違う、王都第二区の中でも一区に近い、やや高級な酒場にリノアとデニスを呼び出した。
これは万が一にもゴウキと鉢合わせしないように気を遣ったからである。これからスミレがリノア達にしたい話は、ゴウキには聞かれたくない話であった。
「もう、一体なんなんですか・・・」
スミレからいつもと違う雰囲気を感じたリノアは、ぶつくされながらもテーブルの上にある上等なワインにチビッと口をつける。デニスはと言えば、ただ黙って腕組みをしたまま、スミレの話を聞く姿勢を取っていた。
スミレ達があえてゴウキ抜きで会合を開いたことはこれまでに一度も無かった。いつだって彼らの中心はゴウキであったからだ。
それが今回はスミレが只ならぬ様子でゴウキ抜きで話がしたいなどと言いだしたので、実のところリノア達は平静を装いつつも、スミレが何を言い出すのか気が気でなかった。
スミレは気つけにテーブルのグラスに注がれているワインを一気に飲み干してから、口を開いた。
「話はこれからのゴウキ・ファミリーのことだ。もしかしたら、これから大きく変わるかもしれねー・・・むしろアタシがそう誘導することになる・・・って言ったら、どう思う?」
スミレがそう切り出すと、リノアとデニスはキョトンとした。
「大きく変わるとは、具体的にどのように?」
リノアが当然の疑問を口に出す。
「・・・まだはっきりとはわからない。けど、アタシ達だけでひっそりと冒険者パーティーをやっていくことは、多分出来なくなるかもしれない」
スミレは少しだけ言いにくそうに、そう告げる。
「それで、それをやることで・・・どういったメリットが?」
次にスミレに問うたのはデニスだ。
「・・・アタシ達からゴウキを離れられなくすることができる。少なくとも、勇者パーティーに戻ることはなくならせることができる」
少し気恥ずかしそうにスミレがそう答える。
「うまく言えねぇけどさ。今あるアタシ達のこのパーティーはこのままってわけにはいかなくなるんだけど、けど、決して最終的には悪いことにはしねぇから・・・だから」
珍しく歯切れの悪いスミレだが、リノアとデニスはお互い無言で顔を見合わせてから
「別にいいんじゃないですか?」
「・・・ああ」
と、何でもない事のようにそう言った。
「え・・・?それだけ?」
今度はスミレがキョトンとした。
「よくわからないけど、スミレ先輩が言い出すからには、ゴウキ先輩のためなんですよね?ならいいじゃないですか」
「・・・今あるパーティーが変わることに思うところがないわけじゃないけど、スミレがやるなら俺達に悪いようにはしないだろう・・・?なら、俺はスミレを信じてみるよ・・・」
リノアとデニスは、詳細もわからぬうちからスミレの計画についてGOサインを出した。
あまり深く考えないというよりは、ゴウキのことを大事に思っているとわかっているスミレが決めることなら、間違いはないだろうという信頼があってのことだった。
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