305 / 493
ゴウキ・ファミリー
スミレの計画
しおりを挟む
時は遡り、まだゴウキがスラリー子爵の依頼を請け負う少し前の話・・・
スミレは公園のベンチに腰掛け、子飼いにしている烏から情報を仕入れていた。
「ふぅん・・・なるほど」
一通り話を聞き、報酬の高級な餌を烏に差し出すと、烏はそれを咥えて空へ消えていく。
「ちっ、うぜーことになってんな・・・」
スミレは舌打ちをして毒づいた。
遠目にスミレを見ていた見知らぬ男が「あの子可愛いな・・・ナンパしようかな」と思っていたが、今のスミレの態度を見て「いや、ねぇわ」と心変わりする。
今のスミレは誰からみても不機嫌オーラ全開であるが、その原因はスミレが動向をチェックしている対象・・・元ゴウキの仲間である勇者クレアである。
「あいつ、まだゴウキのこと諦めてねーのかよ」
スミレはクレアの動向を注視し、クレアがまだゴウキに執着していることを知った。
王に頼み、個人的に会おうと待ち構えようとし、とにかくゴウキと接触を果たそうとしている。スミレはその事がとにかく気に入らなくて仕方が無かった。
王の方にいくら頼んでも恐らくそちらは動かないだろうーー スミレは集めた情報からそう判断していた。勇者クレアのパーティーのゴウキの位置の後釜には、既に政治的に息のかかった他の候補がずらりと勢ぞろいしている状況である。
王も王でクレアに見切りをつけようか迷っているような段階であり、政治的に無理をしてでも彼女の願いをかなえるようなことはしないだろう。
だが、肝心のゴウキはどうか。
ゴウキはすぐに情に絆されるところがある。幼馴染であり、かつて死線を共にくぐってきたクレアが必死になってまた仲間になって欲しいと言えば、すぐにではなくても、いつかはもしかしたら戻ってしまうかもしれないーー スミレはそう考えていた。
嫌だ。そんなことは許さないーー
絶対にゴウキを手放したりはしない。クレアがそうであるように、スミレもまたゴウキに執着している。
スミレは考えた。
ゴウキは勇者パーティーに戻らないようにするには、絶対に戻れないような状況を作るしかないと、そう結論を出した。
そしてその機会は遠からず巡ってくることになる。
スミレは公園のベンチに腰掛け、子飼いにしている烏から情報を仕入れていた。
「ふぅん・・・なるほど」
一通り話を聞き、報酬の高級な餌を烏に差し出すと、烏はそれを咥えて空へ消えていく。
「ちっ、うぜーことになってんな・・・」
スミレは舌打ちをして毒づいた。
遠目にスミレを見ていた見知らぬ男が「あの子可愛いな・・・ナンパしようかな」と思っていたが、今のスミレの態度を見て「いや、ねぇわ」と心変わりする。
今のスミレは誰からみても不機嫌オーラ全開であるが、その原因はスミレが動向をチェックしている対象・・・元ゴウキの仲間である勇者クレアである。
「あいつ、まだゴウキのこと諦めてねーのかよ」
スミレはクレアの動向を注視し、クレアがまだゴウキに執着していることを知った。
王に頼み、個人的に会おうと待ち構えようとし、とにかくゴウキと接触を果たそうとしている。スミレはその事がとにかく気に入らなくて仕方が無かった。
王の方にいくら頼んでも恐らくそちらは動かないだろうーー スミレは集めた情報からそう判断していた。勇者クレアのパーティーのゴウキの位置の後釜には、既に政治的に息のかかった他の候補がずらりと勢ぞろいしている状況である。
王も王でクレアに見切りをつけようか迷っているような段階であり、政治的に無理をしてでも彼女の願いをかなえるようなことはしないだろう。
だが、肝心のゴウキはどうか。
ゴウキはすぐに情に絆されるところがある。幼馴染であり、かつて死線を共にくぐってきたクレアが必死になってまた仲間になって欲しいと言えば、すぐにではなくても、いつかはもしかしたら戻ってしまうかもしれないーー スミレはそう考えていた。
嫌だ。そんなことは許さないーー
絶対にゴウキを手放したりはしない。クレアがそうであるように、スミレもまたゴウキに執着している。
スミレは考えた。
ゴウキは勇者パーティーに戻らないようにするには、絶対に戻れないような状況を作るしかないと、そう結論を出した。
そしてその機会は遠からず巡ってくることになる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
285
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる