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ゴウキ・ファミリー

ゴウキの責任

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「俺の舎弟にしろってそういうことだったのか・・・」


ゴウキはスミレの意図をここで漸く理解し、唖然とした。「その発想はなかった」としか言えない、あまりに突飛な考え方だからだ。


「まぁ・・・お前さんにしてみればあまりに急な展開で困惑するだろうけどな・・・」


セシルは後頭部をポリポリとかきながら語り出す。


「今王都じゃアンドレの一件で行き場や統制を失った連中のことが問題になってるんだよ。好きなように暴れたりしてるんで、正直アンドレがいなくなる前より治安が悪化してる。治安維持のための騎士の数が足りないほどだそうだ」


「え・・・もしかしてそれが俺のせいだと?」


「まぁ間接的には」


「嘘だろ!?」


ゴウキは良かれと思って半グレの頭を潰したつもりだった。
慈善活動も良いところであったが、王都が少し平和になるならそれで良いと思っての行動だったのだ。
まさしく『良かれと思ってやったこと』なのだが・・・


「本来なら魔物の討伐のための遠征なんかで騎士が出払うなどのときには、冒険者ギルドから派遣された冒険者が代わりに治安維持に務めたりするんだがな。アンドレの一件でセントラルギルドにも摘発者が出ちまって、今は人出不足で機能不全に陥ってるらしい。で、これが騎士団でも起きてる。お陰であまり表沙汰にはなってないが、王都の治安は悪化してる。しかも、改善の兆しはなしだ」


「それって、セントラルギルドと騎士団の問題なのでは・・・」


自分が悪いわけじゃないじゃないか、とゴウキは抗議の声を上げる。至極尤もであった。


「だからに、なんだよ。地獄の窯の蓋を開けたのは間違いなくお前さんだ」


「んなアホな・・・」


あんまりな言い分に、ゴウキは膝から崩れ落ちそうになる。


「理不尽でアホくさいと思うだろうけど、自分の行動の結果に何を誘引するかも少しは考えなくちゃいけねーんだよ。特に大きな事をするときは」


そんなゴウキの肩に手を置き、スミレが諭すように言う。
ゴウキは俯き、やや間を置いてから絞り出すようにスミレに問う。


「・・・まぁ、王都の混乱が遠まわしに俺のせいだとして、それがどうしてアイツらを舎弟にすることに繋がるんだ?」


「そりゃ、ゴウキの舎弟にしてやれば、アイツらは野放しにされなくなってこれ以上治安は悪くならないだろ?アイツらこのまま放っておいたらろくなことしないかもしれねーし」


スミレの返答にゴウキは口を半開きにして唖然とする。


「けどあくまでその要因は間接的であって、ゴウキが責任を取る義務はないだろうから、別に放っておいてもそれはそれで良いとアタシは思うけどね」


続くスミレの言葉に、ゴウキはむぅと唸る。
責任を取る必要がない、と言われてそれを鵜呑みにできるゴウキではない。


「王都の治安回復のための巡回要員にするっていう手もあるしな。アイツら個人は弱いけど、束になりゃそれなりのことはできるだろ」


横からセシルが言う。
ゴウキはしばし考えこんでいたが、やがて覚悟を決めたように大きく溜め息をついた。
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