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ゴウキ・ファミリー

無能で怠惰でアホな奴ら

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「なぁ・・・?あいつらを舎弟にしろって正気か?」


デニスに襲撃者達の管理を任せ、ギルドの裏へ引っ込んだゴウキはスミレに呆れ顔で問う。
それに対してスミレは微笑を浮かべながら答えた。


「あぁ。アタシはあいつらは使える。そんな気がする」


「お前は何を言ってるんだ」


スミレの言っていることが理解できないゴウキは、即座に反論する。
だがそんなゴウキを見てスミレはほくそ笑みながら言う。


「ゴウキ。アイツらは見てわかる通り、馬鹿だ」


舎弟にしろと言った相手に対してあんまりな言い方だが、やはりスミレから見てもそうなのか、とゴウキは思った。


「あいつらは能力が高くない。凡人よりマシかもしれないけど、この王都の競争の激しい冒険者界隈じゃ食ってけない感じ。だけど無能なりに反骨心があるわけでもない。何とか努力せず現状のままで王都で生活していきたいと思ってる。地方に移ったほうが今のレベルでも良い暮らしが出来るとわかっていても、それでも貧困でも良いから王都民というネームバリューに拘ってる。総じて無能で怠惰でアホなやつらだ」


「おま・・・そこまで言うか・・・?いや、その通りかもしれないけど」


づけづけと言うスミレに対してモノ申そうとするも、ゴウキには全く否定できない。まだ知ってろくに時間も経過していないが、襲撃者達がここ王都でまともに身を立てられるような人間でないことはよく理解できていた。


「で?そのアホをどうして舎弟にしろなんて言うんだよ」


そこまで言う奴らを舎弟にしろなどと、そんなことを言いだすスミレの真意がまだゴウキには見えてこない。
訝しんでいるゴウキの横で、セシルがクックっと笑ってから呟いた。


「なるほどな。まぁ、確かにおあつらえ向きかもなぁ」


「えっ?」とゴウキは視線をセシルに向ける。
セシルにはスミレの考えていることを理解できているようである。小さいとはいえ冒険者ギルドのギルドマスターともなれば、それだけ多くの人間を見て来たはずであり、人を見る目が自分よりは養われているだろうとゴウキは考えていた。そんなセシルがスミレに同調したことに、ゴウキは驚愕した。


「ゴウキ、あいつらはあんなしょーもないやつだからこそ舎弟として使えるんだ。適度に自分で考える頭が無くて、適度に元気で働けて、それでいて王都から出たがらなくて見栄っ張り。逸材なんだぜ、アレ」


スミレの言葉にゴウキは困惑するばかりであった。
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