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ゴウキ・ファミリー

盗賊団との決裂

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「うっそだろ・・・おいおい」


ハンマは唖然としてゴウキ達を見つめた。


「一応聞いておくんだが、お前達がこの辺を荒らして回ってる盗賊団ってことで良いんだよな?さっきから出会うやつ全員に聞いて回ってるんだが、問答無用で襲ってくるばかりで困ってたんだ」


何とも気が抜けるような呑気なことを言ってくるゴウキ。その拳には血がついていて、ここに来るまでに配下を力でねじ伏せてきたのだということがハンマには理解できた。

コイツがサンドワーム達を倒した猛者・・・!
自分達では勝てるはずもない、とハンマは即座に理解した。


「ご明察。俺達が盗賊団さ。何か用でもあったかい?」


ハンマは降参の意思を示すように両手を上げ、お道化てそう言った。
団長であるハンマがそうしているのを見て、他の盗賊達も同じように無抵抗の意を示した。

ハンマはこれまでに国軍や賞金稼ぎの冒険者らと何度も修羅場をくぐってきた。だからこそわかった。
目の前にいる冒険者達は、一人として自分達では倒すことが出来ないと。パーティーの全員から・・・とりわけゴウキから底知れぬ恐ろしさを感じていた。
だから抵抗はしない。無駄なことはしない。

少なくとも、今はまだ。


「君たちの用事というのは俺達の首をレジプス王家に差し出すことかい?なら、取引をしないか。金を言うだけくれてやるから、ここでのことを見なかったことにしてほしい」


ハンマは取引を持ち掛けた。
どうせ敵わない相手であるのなら、とりあえずダメ元だという考えだった。


「悪いが見なかったことにはできねぇな。俺達は別に金が必要なわけじゃねぇ。お前らにここでうろうろされると困るからやめてもらいに来たんだ」


ゴウキはそう言って煙草を咥えて火を着ける。
金の話をしても微塵も反応を見せなかったゴウキを見て、ハンマは冷や汗を流す。
いくら金を積み上げても流されないタイプと判断し、いよいよ詰まれそうになっているーー と判断した。


「面倒だから王家に突き出すことだけは勘弁してもいい。だがもう盗賊稼業からは足を洗ってもらう」


それでもゴウキは一応交渉の余地を残した。
ここにいる全員を叩き潰しても良いが、円満に彼らがどこか他所へ消えるならそれはそれで目的は達成されるから良いのだ。


「ふっ・・・俺達が盗賊で無くなったのなら、もはやこの砂漠で生きていくことは出来ん」


だがハンマはゴウキの提案を聞いても、首を縦に振ったりはしなかった。


「おいおい・・・命がかかってるのにかよ」


ゴウキは煙草を地面に落とすと、それをギュッと踏みつぶす。



「俺達は砂漠の民さ。砂を離れて生きていくことはできん」


ハンマは最後の最後までとっておいた最終手段による抵抗を試みようとしていた。
盗賊団として日陰の道を進んでいるハンマ達とて、生まれ故郷であるこの砂漠の地に留まることが出来ぬのならば、破れかぶれでも良いから抗いたいーー そう考えていた。
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