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ゴウキ・ファミリー

アジトがバレた!?

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ドォォォォン


盗賊団のアジトである洞窟に、凄まじい轟音と震動が走った。地上からリノアが氷柱でサンドアリジゴクを串刺しにした時のことだ。


「なっ・・・一体なんだ!?」


盗賊たちは慌てふためくが、団長であるハンマだけは冷静なままだった。


「落ち着け。状況を確認しろ」


「は、はいっ・・・」


配下たちはアジトに何かあったか、大急ぎで確認に走り回った。








「だ、団長ぉぉ!」


しばらく間を置いてから、配下が慌てた様子でハンマのところへ走ってくる。


「あ、アリジーちゃんがやられたみたいです!」


アリジーちゃんとは、盗賊団のアジトの入口を守っているサンドアリジゴクのことであった。
地上にある巨大な蟻地獄はサンドアリジゴクの餌場であると同時に、盗賊団の地下アジトの入口のカモフラージュでもあった。蟻地獄の中心まで落ちるとアジトに辿り着く構図になっている。出るときはアリジゴクが押し出してくれる。
サンドアリジゴクと顔の見知った盗賊団は蟻地獄に飲まれても別に食われることはなく、そのまま地下のアジトに出入り出来るというわけである。
これが長年盗賊団のアジトが発見されなかったカラクリであった。


「あ、アリジーちゃんがやられただと!?そんなバカな・・・どんな魔物なんだ!?」


「いや、人間みたいだ・・・」


「は?そんなやついるのかよ??これまでどんな凄腕の冒険者だってアリジーちゃんのことは避けてきたんだぜ??」



盗賊たちは混乱しているが、ハンマは冷静に手元にあった酒を口に運んだ。


「お前ら取り乱すな。みっともねぇ」


ハンマが低い声でそう言うと、配下の盗賊たちは一斉に黙り、辺りは一気に静まり返った。


「これまでに来なかったレベルの凄腕の冒険者が来たってだけのことだろうが?いちいちこんなことで取り乱すな。アリジーちゃんがやられたのは悲しいが、このアジトの存在自体がバレたと決まったわけじゃねぇ。ここで大騒ぎしていたら俺たちのことを見つけてくださいと言っているようなもんだろうが」


ハンマの言葉に、配下の盗賊達は冷静になった。普通に考えてこのアジトの入口がバレることはない。サンドアリジゴクをたまたま狩った冒険者がいたというだけで、自分達を探しに来たとは限らないのだ。



普通に考えればそうだった。
だが、ゴウキ達は普通ではないので、このアジトの存在に感づいていた。
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