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ゴウキ・ファミリー

やったか?

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「さぁ、どう出てくるかな」


砂塵が舞う中、巨大な氷柱が叩き込まれた蟻地獄の中心部にゴウキは意識を向けていた。
決して視界だけではなく、聴覚から気配から何から全ての感覚を研ぎ澄まし、相手が動き出すのを待つ。
スミレも腰を屈めて動き出せるようにしているし、デニスも刀に手を添えパーティー全員が臨戦態勢に入っていた。


「・・・静かだな」


リノアの攻撃魔法の影響で舞っていた砂塵が風に流されて視界がクリアになっても、陥没した蟻地獄の中心からは何も出てこなかった。


「もしかして、最初の魔法だけでやったか?」


ゴウキがそう言った直後だった。



「「~~~~~~~~~~!!」」


バサァァァァァァッ



耳をつんざくほどの大声を上げて、巨大な物体が地中から飛び出してきた。
それは氷柱に体を貫かれてなぉ、絶命していないサンドアリジゴクである。サンドワーム以上の巨体により作られた影で、ゴウキ達は辺り一瞬にして夜になったのかと錯覚するほどだった。


「おぅ、来たか!」


ゴウキが拳を握り締め、立ち向かおうとしたときだった。

サンドアリジゴクは最初に叫びこそすれ、ゴウキ達に向かうことなくそのまま静止した。
動きがあるのは氷柱の貫くところからあふれる血のみである。

サンドアリジゴクは死んでいた。


「・・・先制攻撃だけで死んだのか。驚かせやがって」


どうやら最後に力を振り絞って反撃に出ようとしたものの、そのまま立ち往生したようである。
叫んでいたのは断末魔の悲鳴だったようだ。
規格外の黒魔法で先制攻撃されたのだから、これで無事でいるほうが驚きだよとムハンは思った。




「死んでたのか・・・そうと知らず・・・斬ってしまった」


何やら気まずそうにデニスが言った直後、サンドアリジゴクの巨体に一部がずれ落ちるようにドサリと落ちる。袈裟斬りにあったように真っ二つになっていた。
デニスはどうやら死んでいるとは気づかず、いつの間にか斬ってしまったらしかった。例え生きていたとしても、このデニスの太刀によりどちらにせよ絶命していたことだろう。


「はっ・・・これは夢か・・・夢なのか・・・?」


砂漠の絶対的強者であるはずの魔物を次々と葬るゴウキ・ファミリーの活躍を目にして、すっかり唖然とするムハンに向かって、ゴウキは言った。


「なぁ、こいつってどの部位が金になりそうなんだ?」


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