『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

リスキーな男

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「今、誰かに見られていた気がする」


死んだサンドワームの口からブチブチと牙を引き抜いていたゴウキは、突如ある一つの方向へ向き直り、ずっと砂漠の彼方を見つめてそう言った。
ムハンは大袈裟に肩を竦める。


「どこに、誰がいるんです?この砂漠のどこにそんな人がいるんです?」


肉眼で見える位置には誰かがいるようには見えない。ムハンは視力がかなり良い方だったが、それでもどこをくまなく見ても、人気があるようには見えなかった。


「他に誰もいませんよ」


ムハンは呆れてそう言うが、ゴウキは納得していないようになお砂漠を見つめている。


「あー・・・、確かに誰かいるように見えるな。顔まではわからないけど」


ゴウキの言葉に反応して、同じ方角を眺めていたスミレは言った。


「は?一体何を言ってるんですか?」


唖然とするムハンを余所に、スミレはじっと目を細めて見続けている。


「さっすがゴウキ。気配で何となく気付いちゃうんだなぁ。アタシは気付かなかったわ。あ・・・なんだかアタシ達とは反対の方向へ走ってる」


「は・・・?まさか、本当に見えるんですか?」


「まぁ、一応アタシは忍者だから」


忍者だから?何を言ってるんだとムハンは思ったが、既にゴウキという非常識な存在を目の当たりにしたばかりなので、ゴウキの仲間のスミレも非常識なんだろうなと納得した。むしろ非常識極まるゴウキの仲間が常識的である可能性の方が低いことに気付く。


「こんなところに他に人がいるなんて・・・一体どうして・・・」


ムハンが呆然としていると、ゴウキは煙草を咥えて火をつけた。


「もしかしたら、予想が当たったかもしれねぇな」


「予想?」


ムハンが聞き返すと、ゴウキは煙をふぅーっと吐きながら続ける。


「盗賊のアジトが、この魔物ルートにあるんじゃねぇかって予想してたんだよ」


そう言うゴウキの顔は、なんだか少し満足げだった。


「これまでずっと隠れ家とか見つからなくて軍ですら殲滅出来なかったんだろ?だったら、普通探さないようなところに隠れてるんじゃねぇかってな。今俺達を見ていた連中は、盗賊の一味である可能性がある」


ムハンは呆然とゴウキの言葉を聞いていた。
え?それって、危険かもしれない魔物と同時に盗賊の相手もするつもりでいたの?と。
とんでもないリスキーなことを考え行動するゴウキを、ムハンは恐ろしくて仕方がないと思うようになっていた。逃げてしまおうか、魔物や盗賊ではなく、このゴウキからーーと。
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