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ゴウキ・ファミリー

魔物ルート

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「これから首都に向かうにあたって、ルートが二つあります」


収納魔法のことを知らぬムハンはゴウキ達が何やら信じられないことをやったり言ったりしていたが、もう考えることをやめて気を取り直してレクチャーの続きに入っていた。


「一つは隊商なども普通に使っているルート。道標もあり迷うことなくまっすぐ最短で首都に着けますが、道中で盗賊が出ます。それを回避するためには、護衛を引き連れた隊商にコバンザメのようについていくなどの手がありますが、彼らの庇護下に入るには・・・それなりのツテとお心付けが必要になります」


ムハンはそう言って親指と人差し指でわっかを作り、を指し示すジェスチャーをした。


「なるほど、これが今のところのオーソドックスな交易のルートってわけか」


ゴウキは納得して頷いた。


「もう一つのルートは?」


スミレが質問する。


「もう一つのルートは、魔物の出没するルートです。開拓されていないので、道標はありません。魔物は結構強力ですが、そこには流石に盗賊は現れません。彼らも命が惜しいですからね」


「つまり、そこなら金はかからないってことか」


ゴウキは顎に手を当てて考える仕草をする。


「金はかかりませんが、交易に使うにはどうかと思う場所ですね。変わった上級冒険者が腕試しでたまに使うようなルートですよ?普段は誰も寄り付きません。まぁ、私ほどの砂漠のスペシャリストになれば通ることは可能ですが」


「ふーむ・・・」


顎に手を当てたままゴウキは唸る。彼にはある一つの考えがあったが、その考えが正しいかどうか、ムハンの話を聞いて確かめたくなった。


「よし、そっちの魔物のルートを使ってみよう」


「は?」


どうしてそうなる!?とムハンは目を点にしてゴウキを見た。


「よし、じゃないですよ!盗賊より恐ろしい魔物が出ると言ったじゃないですか。メインのルートでしたら、私のツテのある隊商がいますからそれについていけば安全に首都へ行けますよ!」


隊商への心付けと仲介料で一儲けしようとしていたムハンは、予想外の流れになって慌て出した。


「まぁまぁ大丈夫だからさ。アンタもスペシャリストだから平気なんだろ?」


そんなムハンにスミレが呑気な顔して言った。
砂漠のスペシャリストだから魔物ルートでも自分は大丈夫と言ったのはちょっとした見栄だったのだが、こんなことなら魔物ルートなんて教えるんじゃなかったと嘆くももう遅い。


「じゃあ行くか!案内よろしく」


パーティーメンバーの誰一人としてゴウキの決定に異を唱えずに魔物ルートを選ぶ様子に、ムハンは掴む客を間違えたなと心の底から後悔し、いざとなったら逃げようと誓ったのであった。
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