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ゴウキ・ファミリー
お前はまだ砂漠を知らない
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「おいおい、本気で首都を目指すんだったら、ちゃんと準備してから行ったほうがいいぞ」
レジプスの首都へ向かおうと馬車を降りたゴウキ達の姿を見て、呆れたように御者は言った。
「準備・・・?」
「あぁ、そうだ。お客さんがいるバルジ王国じゃそういうところがないから知らないだろうが、砂漠を移動するってのはいろいろと大変なんだ。他じゃ見ない魔物も出るしな」
じゃあなんて何も言わずにここまで連れてきたんだよ、とゴウキは言おうとしたが、その答えはすぐにわかった。
「そんなわけでな、砂漠を渡るのに心強い味方がいるぜ。こいつは何度も砂漠を渡っているまさに砂漠のプロのガイドさ」
御者がそう言うと、馬車の影からひょっこりと一人の褐色の肌の青年が姿を現す。
「初めまして。私はムハンと言います。砂漠の渡り方から、準備に必要なもののアドバイス、果てはトラブルへの対応まで何でも私にお任せください。お安くしときますよ?」
そう言ってムハンと名乗った青年は一礼する。
「ちっ、雇うしかないような状況になってから声かけやがって。しっかりしてやがる」
顔を顰めるゴウキと裏腹に、御者とムハンは笑みを浮かべていた。
そうしてゴウキ達はやむにやまれず、ムハンを雇うことになったのである。
ーーーーー
価格交渉もできない状況のまま、結局言い値でムハンを雇ったゴウキ達は、砂漠に入るためのレクチャーを受けていた。
「まずは皆さまお召し物が心元ありませんね。砂漠は昼は日差しが強く、夜は恐ろしいほどに冷えます。しっかりとしたローブを身に纏う必要があります」
ムハンの指摘通り、ゴウキ達は普通に冒険に出る服装をしていた。
「それと、見たところ手荷物がほとんどないご様子。水も食料も十二分に用意しておく必要があります。砂漠で歩行による進行速度は、草原や荒野のそれとは違います」
ゴウキ達はほとんど手荷物を持っていない。
「総じて皆さま、準備不足過ぎます」
呆れるほどの軽装備だが、ムハンにしてみれば好都合であった。
「そこで!今回は私が特別価格にて必要はものをすぐにご用意させていただきましょ・・・う?」
準備不足のゴウキ達に対し、不足している物を売りつけようとムハンが商売をしようとするも、ゴウキ達はいつの間にか必需品というローブを手に持っていた。
「ローブ・・・と、後は水と食料だったな。二週間分は持ってきたよな?」
ローブを着込みながら、ゴウキはリノアに訊ねる。
「ここに来る途中、スミレ先輩が小腹が空いたからこっそりとつまみ食いさせろと言ってきたのでいくつか食料を出してしまいました。もう一週間分しか残っていないかもしれません」
「そんなに食ってねーよ!」
悪戯っぽく笑ってそう言うリノアに、スミレが怒りだす。
ムハンは目の前で一体何のやり取りが行われているのか、何が起こっているのか理解できていなかった。
ローブはどこから出した?食料を持ってきた?どこに?
収納魔法の存在を知らぬムハンは、ただただ目を丸くして見ているしかなかった。
レジプスの首都へ向かおうと馬車を降りたゴウキ達の姿を見て、呆れたように御者は言った。
「準備・・・?」
「あぁ、そうだ。お客さんがいるバルジ王国じゃそういうところがないから知らないだろうが、砂漠を移動するってのはいろいろと大変なんだ。他じゃ見ない魔物も出るしな」
じゃあなんて何も言わずにここまで連れてきたんだよ、とゴウキは言おうとしたが、その答えはすぐにわかった。
「そんなわけでな、砂漠を渡るのに心強い味方がいるぜ。こいつは何度も砂漠を渡っているまさに砂漠のプロのガイドさ」
御者がそう言うと、馬車の影からひょっこりと一人の褐色の肌の青年が姿を現す。
「初めまして。私はムハンと言います。砂漠の渡り方から、準備に必要なもののアドバイス、果てはトラブルへの対応まで何でも私にお任せください。お安くしときますよ?」
そう言ってムハンと名乗った青年は一礼する。
「ちっ、雇うしかないような状況になってから声かけやがって。しっかりしてやがる」
顔を顰めるゴウキと裏腹に、御者とムハンは笑みを浮かべていた。
そうしてゴウキ達はやむにやまれず、ムハンを雇うことになったのである。
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価格交渉もできない状況のまま、結局言い値でムハンを雇ったゴウキ達は、砂漠に入るためのレクチャーを受けていた。
「まずは皆さまお召し物が心元ありませんね。砂漠は昼は日差しが強く、夜は恐ろしいほどに冷えます。しっかりとしたローブを身に纏う必要があります」
ムハンの指摘通り、ゴウキ達は普通に冒険に出る服装をしていた。
「それと、見たところ手荷物がほとんどないご様子。水も食料も十二分に用意しておく必要があります。砂漠で歩行による進行速度は、草原や荒野のそれとは違います」
ゴウキ達はほとんど手荷物を持っていない。
「総じて皆さま、準備不足過ぎます」
呆れるほどの軽装備だが、ムハンにしてみれば好都合であった。
「そこで!今回は私が特別価格にて必要はものをすぐにご用意させていただきましょ・・・う?」
準備不足のゴウキ達に対し、不足している物を売りつけようとムハンが商売をしようとするも、ゴウキ達はいつの間にか必需品というローブを手に持っていた。
「ローブ・・・と、後は水と食料だったな。二週間分は持ってきたよな?」
ローブを着込みながら、ゴウキはリノアに訊ねる。
「ここに来る途中、スミレ先輩が小腹が空いたからこっそりとつまみ食いさせろと言ってきたのでいくつか食料を出してしまいました。もう一週間分しか残っていないかもしれません」
「そんなに食ってねーよ!」
悪戯っぽく笑ってそう言うリノアに、スミレが怒りだす。
ムハンは目の前で一体何のやり取りが行われているのか、何が起こっているのか理解できていなかった。
ローブはどこから出した?食料を持ってきた?どこに?
収納魔法の存在を知らぬムハンは、ただただ目を丸くして見ているしかなかった。
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