『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

スライム事業の破綻

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「ここのスライム、可愛がってるんじゃなかったんですか?というか、養殖までしておいてどうして俺達に処分させようとするんです?」


スラリーのことがまるで理解できないゴウキは、思わずそう訊ねていた。


「私だってぇ、とっても不本意なんですぉ」


問われたスラリーは寂しい笑みを浮かべながら、足元に纏わりついているスライムを見下ろしてそう言った。


「ですがぁ、これ以上は当家の財力ではこの子達を養うことが出来ないんですぅ。ここまで規模が膨れ上がってしまうとぉ、野に開け放つのも大変ですし・・・」


スラリーが視線を地下室全域に向ける。ゴウキもつられるように見てみると、広大な地下室の至るところに所狭しと樽が並べられている。その全てにスライムが入っているのだろう。何を食べるのか知らないが、餌代だって馬鹿にならないことはゴウキにも想像がついた。


「その・・・スライム好きが高じてこんなことになってしまったんですか?」


ゴウキは疑問に思ったことを聞いてみる。
スライム好きで繁殖させた結果、飼育代で家の財政が傾いたというのだろうか?と気になって仕方が無かったのだ。


「いえ、そういうわけではありません。スライムの養殖を始めたのは先代当主・・・今は亡き私の父なのですが、スライムを利用した事業を展開しようとしていたのですぅ」


「事業?」


スライムを使った事業など聞いたこともなかったゴウキは訝しむ。


「はぁい。スライムの養殖をすることにより、市場にスライムジェルを安定供給させる目的でぇ、セントラルギルドからの誘いに乗り、父が事業に乗り出したのですぅ」


セントラルギルドの名が出た瞬間、ゴウキは眉を顰めた。
またセントラルか・・・と。


「当時はスライムジェルの供給が安定しておらず、養殖に成功すれば事業は大成功するはずでしたぁ。多額の設備投資をし、十数年の時間をかけ、ようやく養殖に成功したと思った矢先・・・王都近郊でスライムの群生地が見つかり、スライムジェルが市場に溢れかえるようになりました。その途端、セントラルギルドはうちからスライムジェルは買い取らないと言い出したのですぅ。うちには借金とスライム達だけが残りましたぁ」


「・・・ちっ」


客の目の前だというのに、ゴウキは話を聞いていて胸糞が悪くなり舌打ちをした。


「養殖したスライムより、天然のスライムからの方がより上質なスライムジェルが採れるとギルドは言いますが、それは誤解ですぅ。私達が品種改良をしたスライムはぁ、天然のそれよりアイテム生成に適したジェルを採ることが出来るのですぅ。まずはこちらのデータを見てください~」


「いやぁ、それは結構~」


何か凄まじいまでの書類の束を見せようとしているスラリーを手で制し、ゴウキは考え込む。


「喋り方移ってるゾ」


スミレが何か言っているが、ゴウキの耳には入っていなかった。
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