『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

スマイル0ベリカ  その2

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冒険者達が帰ろうと思い、一応受付のノーラに声かけしようかと思ったときだった。

「おっ・・・」


冒険者達は驚いた。
カウンターの向こうにいたと思っていたノーラが、いつの間にか冒険者達の近くに来ていたのだ。


「このデビルマタンゴの討伐依頼、中々請け負って下さらないんですよね・・・」


「えっ?」


ノーラはボードに張りつけられた依頼書を撫でながら、溜め息交じりに言う。


「報酬は相場通りですし、そのくせ少し場所は遠いから初心者さんもあまり気が乗らないみたいなんでずっと放置されてしまっているんです」


「あぁ・・・それはまぁ・・・」


なんとも微妙な表情をして、冒険者達が視線を床に落とす。
ノーラの言う通り、確かに気が乗らない条件の依頼だ。


「この依頼を出してくださっている村は若い女性ばかりの村で、デビルマタンゴなんて低級の魔物でも自分達でどうにかすることが出来ないんです。けど報酬もこれ以上は出せないくらいは財政状況も逼迫してて・・・本当、可愛そうで・・・」


「お、おぅ・・・」


「とても男性自体少ない村だから、依頼をこなせるくらい勇ましい男性が来たら、それはもう持て囃されそうなものなんですが・・・」


「えっ」


冒険者達の肩がピクリと反応した。


「この村の男性の方は・・・その、草食系の方ばかりで強い男の方に免疫がないから、冒険者の男性なんて来たらそれはもうイチコロに・・・」


「・・・・・・」


冒険者達は黙りこくっていたが、やがて一人が口を開いた。


「ま・・・義を見てせざるは勇無きなりってな。あえてお嬢さんの口車に乗ってやろうじゃねぇの・・・その、依頼受けてやるぜ。はぁ、俺も損な性格ダゼこりゃ・・・」


「えっ!?本当ですか??」


かっこつけてそういう冒険者に対し、ノーラはいかにも驚きましたな反応を見せる。


「ま、待て。俺だってやらないとは言ってないぜ?」


「た、たまには初心に帰って格下の依頼を受けるのもな・・・」


「いや、俺一人で十分・・・」


「いやいや俺が行くって」


さっきまで敬遠していたはずのしょぼい魔物討伐依頼に、村娘目当ての冒険者達は食いつき始めた。
依頼を請け負ってもらえるよう、予めいろいろとリサーチしていたノーラの作戦勝ちである。


「皆さん、ありがとうございます!どうか、お気をつけて!」


結局フォースギルドで登録をすることになった冒険者達は、何か口車に乗せられた感がしつつも、ノーラが笑顔で送り出したことで「まぁいいか」と納得した。
依頼が終われば「お疲れ様でした」「お怪我はありませんか」「ありがとうございます」と心を決めて労いの言葉を述べるノーラがいるフォースギルドはたちまち評判になり、ひっそりとリピーターを増やしていくことになる。
ノーラの笑顔が見たいーー それだけで雑用依頼を請け負う者まで現れた。
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