『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

セントラルの止まらぬ暴走

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セントラルギルドのマスター、フミオンは不機嫌だった。
ここ最近はずっとずっと不機嫌だ。機嫌の良かったときなどあったのだろうか?と、以前のことを忘れてしまいそうになるくらいにはひたすらに不機嫌だった。

フミオンの心を占めているのは「焦り」であった。
フミオンが私怨によって職権を濫用してゴウキ・ファミリーを追い詰めようと、拠点購入の妨害のために価値もない不動産すら買いまくった結果・・・当然ながらセントラルギルドは大きな損失を被ろうとしていた。
購入したことに無理筋でも理由を作り上げようにも、何も思い浮かばぬ現状にフミオンは自業自得であるにも関わらず苛立っている。

そうした理由からせめて損失穴埋めするだけの収益を得ようと、強引ながらもギルドの増収化に向けてフミオンは舵を切った。冒険庁から指摘が入るかもしれない、クレームだって入るし一時的な混乱は起こるだろう・・・しかし、やらねば自分の責任が追及されてギルドマスターの座を下ろされてしまうことになりかねない。

多少強引にやったところで、冒険者はセントラルギルド以外に頼らねば冒険者生活は成り立たない・・・最初こそ混乱はあっても最後は沈静化するだろう。冒険庁の指摘だって、どうとでも誤魔化してみせるーーーフミオンはそう思っていた。




「マスター・・・現場の方は限界です。査定や報酬を適正に戻した上で、人員補充をする必要もあります。それから人員の補充が完了するまでの間、一時的に営業時間の短縮などで職員の負担を軽減することも検討すべきかと」


「ふざけるな!今まで散々高い給金を貰っておいて、こうした窮状すら耐えられない様でどうするんだ!?」


部下の進言に対し、フミオンは怒りをぶちまけた。


「人員の補充?経費がかさむではないか!営業時間の短縮?どれだけの損失を被ることになると思っているんだ!!今このギルドはそんなことをしている余裕はないんだぞ!!」


ギルドの余裕が無くなったのはフミオンの私怨晴らしのためであるが、そのことをフミオンは棚上げして怒鳴った。


「ここを耐えればどうせすぐに混乱は収まる!二度とくだらないことで俺に手間をかけさせるな!!」


フミオンの咆哮がギルド内に響いた。
この日だけで二人が精神を病んでギルドを退職する。

ことの推移を見守っていた冒険庁長官のジャックがここで不正な価格操作を指摘すれば、まだセントラルギルドが是正されたかもしれない。フミオンも責任追及があったかもしれないが、深手にはならなかったかもしれない。
だがジャックはあえて放置した。
そうされることによって、フミオンはジャックの思い通りに破滅の道を進もうとしていた。
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