『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

ミリアの苦痛

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クレアが王城へ行った頃、パーティーメンバーは今日のところは一旦解散ということになったので、ミリアは実家であるバークマン侯爵家へ帰っていた。


「どうしたのミリア?顔色が悪いわ」


帰りを迎えた祖母ジェニファーが、何やら顔色の悪いミリアを見て心配そうに声をかけた。


「すみません、長旅の疲れが出ているのかもしれません。少し休みたいと思います」


ミリアはそう言ってその場を離れ、早々に自室に戻った後はすぐさまベッドに身を横たえた。
長旅ではあったが、ミリアは冒険者だ。簡単に体調を崩したりするほどヤワではない。だが、ミリアは馬車の中で新聞を読んでからずっと胸の中を言いようのない不快感が巡り、やがて頭痛まで感じるようになっていた。


(どうして・・・?)


ミリアの心の中がモヤモヤしていた。
きっかけが何であるかはミリアもわかっている。ゴウキに恋人が出来たというゴシップ記事を読んでからだ。
だが、それを読んだことでどうして自分がこうまで取り乱し、引きずってしまっているのかがわからなかった。

寂しい?悔しい?
ゴウキに恋人が出来たのが事実だとして、どうしてこんなに胸が締め付けられるのだろう。自分には既にリフトという婚約者がいる、嫉妬などするはずもないのにどうしてだろうか?


「・・・っ!」


刺すような鋭い頭痛がミリアを襲う。
ゴウキの一件で芽生えたモヤモヤ感について考えるだけで、まるで頭を串刺しにされるかのように痛みが走る。


(何かがおかしい・・・!)


ミリアは自分の体を襲う異常事態に、ただ恐怖に震え体を丸める。
そしてぎゅっと目を閉じて頭痛に耐えようとした。


「・・・!」


脳裏に浮かび上がる、誰かの人影。
恐怖から自分を守ってくれる心強い誰かの背中が、おぼろけながらミリアの記憶に蘇ってくる。


「私・・・私ぃ・・・」


激しい頭痛に震えながら、ミリアはやっとの思いで口を開いた。


「助けてゴウキ・・・」


誰にも聞こえるはずのない、そんな小さな声。だが、そんなミリアの言葉に答えるものがいた。


「もう大丈夫よミリア」


ミリアの元には、いつの間に部屋に入ってきていたのか祖母ジェニファーがいた。
ジェニファーは優しい笑顔で丸くなるミリアの頭を撫で、そして言った。


「間に合った。手遅れになる前で良かったわ。先生を呼んできたから、もう大丈夫よ」


ミリアは虚ろな目でジェニファーを見上げる。
ジェニファーの隣に何者かが立っているのが見えたが、ミリアはそこで意識を手放した。






ーーーーー



「危ないところでしたね。もう少しでところでした」


「悪い予感がして、念のために貴方を呼んで良かったわ」


「ここ最近は大人しかったのでまさかでしたよ。何か刺激的なことがあったようですね」


「困ったものね。それじゃあ、もう一度のほうを頼めるかしら」


「仕事ですので構いませんが、あまりやり過ぎるとお孫さんが壊れてしまいますよ?」


「そのときはそのときよ」
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