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ゴウキ・ファミリー
ドミンゴが見た伝説 その4
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「もうこっちは片付いたぜ」
スミレがクリスタルゴーレムと組みあっているゴウキに向かってそう言った。
ゴウキはこれまでの間・・・時間にして5分も経過はしていないが、ずっとクリスタルゴーレムと組み合い、動きを止めていたのだった。
「お、もう終わったのか?」
ゴウキは特に危機感も何もない感じで、スミレにそう問い返した。
またさらにハッとしてドミンゴは今度はゴウキを見やる。
他の面々もアレだったが、そもそも図体のでかいクリスタルゴーレムと組み合って動きを止められているゴウキも十分に異常である。
「んじゃ、こっちも終わりにするか」
まるでそうしようと思えば簡単にできた、と言わんばかりのゴウキの物言いに、ドミンゴは流石に今度ばかりはと訝しんだ目線を向ける。
クリスタルゴーレムという魔物がクリスタルウルフとはランクが全然違うことはドミンゴだってわかっていた。今回の目的は良質なクリスタル・・・クリスタルゴーレムの体だ。今回のゴウキ達のように同じ依頼を受ける冒険者は稀にいるが、クリスタルゴーレム自体が決して弱いものではないということ。そのクリスタルゴーレムの体を極力無傷で制圧するという、とても厳しい条件の元でこの依頼を達成できる者はそうそういないということも知っていた。
だからあんな余裕そうな態度でいられる冒険者など、そうそういるはずもないのだーーー とドミンゴは思いながらゴウキのことを見ていた。
(結局、大したことはなかったな。クレア達は一体何をしていたんだ?)
一方でゴウキは、組み合った瞬間からクリスタルゴーレムが以前と比較して別に強くなっているわけではないということに気付いていた。組み合って動向を伺っていたが、特に切り札も何も持っているわけではなく、本当にゴウキに動きを止められて無力化されていることがわかった。
(前と変わらないなら、まぁそんなに難しい相手じゃないな)
前と戦ったときはゴウキの拳で粉砕した。
だが今回は極力体を無傷で手に入れなければならない。そしてゴウキの取った行動とはーーー
バキン
「ファッ!?」
ゴウキの行動を見て、ドミンゴは目を見開いた。驚愕のあまり変な声も出た。
ゴウキは体勢を変えると、クリスタルゴーレムの腕をへし折り引き千切ったのである。
「ふんっ!」
続いてもう片方の腕に組みつくと、振りほどこうと動くクリスタルゴーレムを嘲るかのように簡単に同じように腕を折り、千切った。
一瞬にして両腕を失ったクリスタルゴーレムは、大した抵抗ができるはずもなく、そのまま両足もゴウキによって千切られた。
「ごくっ・・・」
ドミンゴは無言で実入り、唾を飲んだ。
恐ろしい光景だ。これじゃどちらが魔物かわからないーーー
これまでに冒険者の戦いというのは何度か見たことのあるドミンゴだったが、こんな風に素手で圧倒的な力を使い、制圧する冒険者なんて見たことがなかった。
野生動物のような荒々しい狩りをしているかのような光景に、ドミンゴはただただ虜になってその姿を見つめていた。
最終的にはダルマにされて完全無力化したクリスタルゴーレム。ゴウキはそれを縄でくくって背中に背負った。収納魔法を使うこともできたが、外部の人間であるドミンゴがいるところではあまり使うべきではないとゴウキは判断し、今回はゴウキが直接背負って持ち運ぶことにしたのだ。
自分よりはるかに巨体であるクリスタルゴーレムの胴体を軽々しく背負うゴウキを見て、ドミンゴは「魔物のような恐ろしい力を持つ男」とゴウキのことを記憶した。
スミレがクリスタルゴーレムと組みあっているゴウキに向かってそう言った。
ゴウキはこれまでの間・・・時間にして5分も経過はしていないが、ずっとクリスタルゴーレムと組み合い、動きを止めていたのだった。
「お、もう終わったのか?」
ゴウキは特に危機感も何もない感じで、スミレにそう問い返した。
またさらにハッとしてドミンゴは今度はゴウキを見やる。
他の面々もアレだったが、そもそも図体のでかいクリスタルゴーレムと組み合って動きを止められているゴウキも十分に異常である。
「んじゃ、こっちも終わりにするか」
まるでそうしようと思えば簡単にできた、と言わんばかりのゴウキの物言いに、ドミンゴは流石に今度ばかりはと訝しんだ目線を向ける。
クリスタルゴーレムという魔物がクリスタルウルフとはランクが全然違うことはドミンゴだってわかっていた。今回の目的は良質なクリスタル・・・クリスタルゴーレムの体だ。今回のゴウキ達のように同じ依頼を受ける冒険者は稀にいるが、クリスタルゴーレム自体が決して弱いものではないということ。そのクリスタルゴーレムの体を極力無傷で制圧するという、とても厳しい条件の元でこの依頼を達成できる者はそうそういないということも知っていた。
だからあんな余裕そうな態度でいられる冒険者など、そうそういるはずもないのだーーー とドミンゴは思いながらゴウキのことを見ていた。
(結局、大したことはなかったな。クレア達は一体何をしていたんだ?)
一方でゴウキは、組み合った瞬間からクリスタルゴーレムが以前と比較して別に強くなっているわけではないということに気付いていた。組み合って動向を伺っていたが、特に切り札も何も持っているわけではなく、本当にゴウキに動きを止められて無力化されていることがわかった。
(前と変わらないなら、まぁそんなに難しい相手じゃないな)
前と戦ったときはゴウキの拳で粉砕した。
だが今回は極力体を無傷で手に入れなければならない。そしてゴウキの取った行動とはーーー
バキン
「ファッ!?」
ゴウキの行動を見て、ドミンゴは目を見開いた。驚愕のあまり変な声も出た。
ゴウキは体勢を変えると、クリスタルゴーレムの腕をへし折り引き千切ったのである。
「ふんっ!」
続いてもう片方の腕に組みつくと、振りほどこうと動くクリスタルゴーレムを嘲るかのように簡単に同じように腕を折り、千切った。
一瞬にして両腕を失ったクリスタルゴーレムは、大した抵抗ができるはずもなく、そのまま両足もゴウキによって千切られた。
「ごくっ・・・」
ドミンゴは無言で実入り、唾を飲んだ。
恐ろしい光景だ。これじゃどちらが魔物かわからないーーー
これまでに冒険者の戦いというのは何度か見たことのあるドミンゴだったが、こんな風に素手で圧倒的な力を使い、制圧する冒険者なんて見たことがなかった。
野生動物のような荒々しい狩りをしているかのような光景に、ドミンゴはただただ虜になってその姿を見つめていた。
最終的にはダルマにされて完全無力化したクリスタルゴーレム。ゴウキはそれを縄でくくって背中に背負った。収納魔法を使うこともできたが、外部の人間であるドミンゴがいるところではあまり使うべきではないとゴウキは判断し、今回はゴウキが直接背負って持ち運ぶことにしたのだ。
自分よりはるかに巨体であるクリスタルゴーレムの胴体を軽々しく背負うゴウキを見て、ドミンゴは「魔物のような恐ろしい力を持つ男」とゴウキのことを記憶した。
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