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ゴウキ・ファミリー

セントラルギルドの闇  その1

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「見たところ他の連中は粗削りだが、アンタはそこそこ出来る方だろう?冒険者としていくらでも食っていけるんじゃねぇのか?もっとまともに良いところに住めるだろう」


ゴウキの言葉に他の仲間はムッとし、ドレークは思わず苦笑いを浮かべる。
自分を評価してくれているようだが、結局ゴウキにはまるで敵わなかった。嫌味で言っているわけではないと思うが、どうにも心中は複雑であった。
ちなみにドレークが爆弾で傷つけたはずのゴウキの傷は超回復体質によって既に塞がっている。そんなザマなのでドレークが卑屈になるのも無理はない。


「んー・・・」


ドレークはしばし考え込んでいたが、やがて観念したかのように溜め息をついてから口を開いた。


「恥ずかしくて本当はあまり言える話じゃないんすけどね。アナタには負けているんで、質問には答えますよ」


ドレークがそう言うと、仲間達は一斉に俯き出す。


(元よりこいつらがまともな状況にあるとは思っていなかったが、思っていたより結構込み入った状況みたいだな)


ゴウキは河川敷に埋まっていた岩に腰を下ろし、話を聞く体勢に入る。

ドレークの話は、ゴウキが予想だにしていない内容だった。


「結論を言うと、俺達はセントラルギルドに睨まれてるんですわ」


「・・・なに?」


ドレークの言葉を聞いて、ゴウキは目を見開いた。


「この王都じゃ、セントラルギルドから睨まれると、冒険者じゃ銀行から金を借りるどころか、まともな家を借りることも出来ねぇんですわ。だからまぁ、ギャングの持ち物件ならそこまで心が痛まねぇってことで、ここをパーティーの拠点として借りさせてもらったんです。悪いことしたとは思ってます」


気まずそうにドレークは地面に目を晒して言った。
ギャング(ディック)への申し訳なさより、こんな状況になっている自分への情けなさからだろう。


「当然セントラルからは仕事を貰えない立ち位置にあります。というか王都のどのギルドからも貰えてないす。だから安くても個人的に仕事を集めてなんとか食いつないでいる状態です」


ドレークはそう言って、はぁと大きく溜め息をついた。つられて仲間達も同じように一斉に溜め息を吐く。
ゴウキはドレーク達がかつての自分と(正確には今もだが)同じ状況にあることに驚く。そして、自分以外にもセントラルギルドから酷く理不尽なことをされている冒険者がいることに憤慨した。


「一体、セントラルギルドと何があったんだ?」


ゴウキの問いに、ドレークはポツポツと語り出した。
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