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ゴウキ・ファミリー

ボス登場

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(やべえ、やべえぞアイツ)


バルドーが潰される様を屋根の上から見ていたノロスは、急いで複数の矢を一度につがえていた。矢にはいずれも強力な毒が塗ってあり、1つでも命中すれば無力化…当たり所が悪ければ絶命させられるものだった。

睡眠の矢の使用は諦めた。恐らくは命中しても効かないだろうと、ゴウキの出鱈目に強靭な肉体を見てノロスはそう判断する。結局はバルドーと同じ「殺すつもりでいくしかない」という結論に達したのだ。


「やるよ…」


ノロスは祈るような思いで、ゴウキを狙う。
ゴウキに殴られているバルドー、そしてその近くで無力にも腰を抜かしているウルラにも矢が当たってしまう可能性があったが、もはやそちらに気を回す余裕はなかった。
一応は解毒剤を持っているので、最悪はそれでいくらかの確率で蘇生させられるだろう……そう考えた。





「やめときな」


そんなノロスが背後から声をかけられた。
振り向くと、そこにいたのは自分達のリーダーであるドレークであった。


「そいつを打てば、今度はお前が餌食になるぜ。そしてあいつは倒せない」


神妙な顔でそう言うドレークを見つめながら、ノロスはつがえていた矢を下ろした。






ーーーーーー






「やぁやぁ、どうかその辺で勘弁していただけないか」


ゴウキが「もういいか」と思うほどにバルドーを打ちのめした頃、地上に降りたドレークが「降参」の意を示すかのように、両手を広げ頭の位置まで掲げた状態で現れた。

ドレークの周りには弓を持ったノロスと、もう一人白魔法士のライラがいた。
ドレークの態度は落ち着き払っており、年齢もゴウキよりいくらか上の方であり、ゴウキは彼がここの占拠者達のリーダーであると察した。


「話し合いをする気になったってことか?」


そう言ってゴウキはボロ雑巾のようになったバルドーを片手で放り投げ、ドレークの前に転がした。

ずしゃり

バルドーの意識はなく、顔は原形を留めていない。
ドレークはそんなバルドーを見下ろすと「治療をしても?」とゴウキに訊ねる。
ゴウキが黙ったまま頷くと、ライラがすぐにバルドーに駆け寄り、回復魔法による治療を開始した。
呆けたままのウルラはノロスが腕を引いて無理に立たせ、ドレークの近くに連れていく。

バルドーの怪我は酷く、回復魔法をもってしてもすぐには治らない有り様で、ウルラに至っては完全に戦意を喪失しており、怪我は無くとも戦力にはなり得ない。
ドレークは自分の仲間達が壊滅状態にあることを認め、小さく溜め息をつく。
ゴウキは口に火の着いた煙草を咥えたままだったのを見て、うちのパーティーじゃ荷が重かったかなと苦笑いを浮かべた。


「少し二人で話しませんか。出来れば、誰もいないところで」


ドレークの申し出に、ゴウキは頷いた。
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