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ゴウキ・ファミリー
ゴウキ・ファミリーの拠点
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「ゴウキ先輩はまだお引越しをしないんですか?」
ゴウキ達が常連となっている酒場カムシンでは、今日も彼らが飲みに来ていたが、そこでふとリノアが質問をした。ゴウキ達はここ最近ずっと半グレ退治に精を出していたため、今夜は久しぶりに特にそういった活動をしない純粋な飲み会である。
元締めであるアンドレを逮捕した以上、そのうちに自然と騎士団の取り締まりなどで淘汰され、半グレ達も姿を消すだろうと判断して、しばらくは王都見回りは様子見しようとのゴウキの判断により、しばらくぶりのリラックスした時間が流れていた。
実際は騎士団はひっくり返る騒ぎになっているのだが、そんなことはゴウキ達はまだ知らない。
「引っ越し?あぁ、そうだなぁ」
思い出したようにゴウキは考え込む。
まとまったお金も入ったことだし、とりあえず新居を見つけようと考えてはいたものの、すっかり今のフォースギルドの空き部屋生活に慣れてしまったので、引っ越し計画は全く進捗を見せていなかった。最近は半グレ掃討に精を出していたのだから仕方がないといえば仕方がないのだが。
ギルドマスターのセシルは「部屋はこのまま使ってもらってもいいんだぞ。こっちも仕事振りやすくなるしよぉ」と言ってくれてはいるが、ゴウキとて流石にこのまま居座るのは心苦しいと思っていた。
「ノーラさんと毎日一緒なんて・・・危ないです」
「は?」
小さな声でリノアが言った言葉は、ゴウキには聞き取れなかった。
リノアは夜遅くまでギルドで働き、朝早く出勤する。必然とゴウキと一緒にいる時間が長くなると危機感を抱いているのだった。故になんとかゴウキに引っ越させてノーラと距離を取らせたいと考えていた。
「その・・・提案なんだが」
ピョッとデニスが手を上げた。
「冒険者達って、自分達の拠点を作ったりするらしいじゃないか・・・一緒に住んでいるパターンも多いと聞く。そういうのは・・・僕達はどうなんだ?」
ゴウキは脳裏にかつて勇者パーティーのときの拠点でのことが思い出される。
勇者パーティーはゴウキのみが平民で、クレア、ミリア、マリスが貴族令嬢だった。貴族令嬢は論外として、リフトも聖職者故に未婚の男女の共同生活というものを嫌うため、同居するということはなかった。ゴウキ以外は実家通いだったのである。
だが、そんな特殊なパーティーを除き、ある程度名を上げた冒険者パーティーが拠点を持ち、そこでメンバー達が共同生活を行うことはごく普通に行われていることであった。一体感を高めるなどそういったメリットもあるが、経済的であるし、財産の管理もしやすい。
デニスが提案しているのはこのスタイルの拠点である。
「拠点か・・・その発想はなかった」
勇者パーティーでの生活が長かったため、拠点はただの合流地点程度の意味合いしかなかった。
悪くないなと思ったが、男女が一つ屋根の下で暮らすことになるのである。簡単に自分が決めるわけにはいかんなとゴウキは思った。
「なぁ、二人はどう思」「いいんじゃね?」「すぐに物件を探しましょう!」
意見を聞こうとしたゴウキにかぶせるように、スミレとリノアは即座に合意した。
こうしてゴウキ・ファミリーは拠点を築くことが決定したのであった。
ゴウキ達が常連となっている酒場カムシンでは、今日も彼らが飲みに来ていたが、そこでふとリノアが質問をした。ゴウキ達はここ最近ずっと半グレ退治に精を出していたため、今夜は久しぶりに特にそういった活動をしない純粋な飲み会である。
元締めであるアンドレを逮捕した以上、そのうちに自然と騎士団の取り締まりなどで淘汰され、半グレ達も姿を消すだろうと判断して、しばらくは王都見回りは様子見しようとのゴウキの判断により、しばらくぶりのリラックスした時間が流れていた。
実際は騎士団はひっくり返る騒ぎになっているのだが、そんなことはゴウキ達はまだ知らない。
「引っ越し?あぁ、そうだなぁ」
思い出したようにゴウキは考え込む。
まとまったお金も入ったことだし、とりあえず新居を見つけようと考えてはいたものの、すっかり今のフォースギルドの空き部屋生活に慣れてしまったので、引っ越し計画は全く進捗を見せていなかった。最近は半グレ掃討に精を出していたのだから仕方がないといえば仕方がないのだが。
ギルドマスターのセシルは「部屋はこのまま使ってもらってもいいんだぞ。こっちも仕事振りやすくなるしよぉ」と言ってくれてはいるが、ゴウキとて流石にこのまま居座るのは心苦しいと思っていた。
「ノーラさんと毎日一緒なんて・・・危ないです」
「は?」
小さな声でリノアが言った言葉は、ゴウキには聞き取れなかった。
リノアは夜遅くまでギルドで働き、朝早く出勤する。必然とゴウキと一緒にいる時間が長くなると危機感を抱いているのだった。故になんとかゴウキに引っ越させてノーラと距離を取らせたいと考えていた。
「その・・・提案なんだが」
ピョッとデニスが手を上げた。
「冒険者達って、自分達の拠点を作ったりするらしいじゃないか・・・一緒に住んでいるパターンも多いと聞く。そういうのは・・・僕達はどうなんだ?」
ゴウキは脳裏にかつて勇者パーティーのときの拠点でのことが思い出される。
勇者パーティーはゴウキのみが平民で、クレア、ミリア、マリスが貴族令嬢だった。貴族令嬢は論外として、リフトも聖職者故に未婚の男女の共同生活というものを嫌うため、同居するということはなかった。ゴウキ以外は実家通いだったのである。
だが、そんな特殊なパーティーを除き、ある程度名を上げた冒険者パーティーが拠点を持ち、そこでメンバー達が共同生活を行うことはごく普通に行われていることであった。一体感を高めるなどそういったメリットもあるが、経済的であるし、財産の管理もしやすい。
デニスが提案しているのはこのスタイルの拠点である。
「拠点か・・・その発想はなかった」
勇者パーティーでの生活が長かったため、拠点はただの合流地点程度の意味合いしかなかった。
悪くないなと思ったが、男女が一つ屋根の下で暮らすことになるのである。簡単に自分が決めるわけにはいかんなとゴウキは思った。
「なぁ、二人はどう思」「いいんじゃね?」「すぐに物件を探しましょう!」
意見を聞こうとしたゴウキにかぶせるように、スミレとリノアは即座に合意した。
こうしてゴウキ・ファミリーは拠点を築くことが決定したのであった。
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