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ゴウキ・ファミリー
騎士団の新たな問題 その1
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バルジ王国 騎士団庁舎にてーー
ラルグス・テイン副騎士団長は部下の報告を聞いて溜め息をついた。
「ご苦労。下がって良い」
ラルグスは部下を下がらせると、仕事机の上に置いてあった冷めた珈琲に口をつけた。
「む・・・」
想定していた以上の苦みが口の中に広がり、ラルグスは顔を顰める。煎れ方を間違えたのか、それとも今の自分には普通の珈琲ですら苦く感じてしまうほど精神的にまいってしまっているのか・・・
ラルグスはやれやれと首を振ると、部下が持ってきた分厚い報告書に目をやった。
「正しく山積み・・・だな」
ここ王都は広大な規模を誇る、世界でも五本の指に入る大都市だ。人口が多くなるとそれだけ事件などトラブルが増えるが、この王都の事件発生件数は世界各国の大都市の中でもワースト1である。
理由は何より腕自慢の冒険者が集まるから、であろう。腕っぷしに自信のある冒険者・・・特に新米何かは自分が強者だと思ってすぐに他人とトラブルを起こす。毎日冒険者の起こす事件は十件は最低でも起きるのだ。
その対応に取り組んでいるのは、王都の治安維持を任されているラルグスであった。本来ならば副騎士団長のやる仕事ではないが、あまりに王都の治安維持業務というのが多忙であるのと、高度な判断が仰がれる場面が多いので、いつの間にかラルグスが直接口を出すようになっていた。
当然ラルグスの業務は多忙を極めるようになり、庁舎に泊まり込むのも珍しくはないほどであった。
そんなラルグスの元に上がってきた報告・・・それはセントラルギルト職員アンドレの汚職。
あろうことか信用第一の冒険者ギルドの職員が職場で入手した情報を元に冒険者に犯罪を教唆し、金銭を得ていたという前代未聞の大事件。
関わっていたであろう冒険者の数は三桁に及び、ここ近年王都にたむろしている犯罪者集団を束ねていたとの報告も上がっている。
この異例の大事件にセントラルギルドはもちろん、騎士団も汚職が横行していないかの内部調査が行われるようになった。そしてやってみると埃が出るわ出るわの大騒ぎだ。
ラルグスの目の前にある報告書は、昨日起きた王都での事件に関するものと、騎士団内で判明した汚職に関するもの。両方ともが山になっていた。
「一体どうすればいいんだ、これ・・・」
アンドレの汚職については既に騎士団のほうで捜査が進められていたが、決定打に欠け逮捕することが難しい状態となっていた。
そんなアンドレの逮捕は騎士団の悲願であるはずだったが、実際に叶ってみるとラルグスの負担が大幅に増すという予想外のことが起きる。
「ゴウキ君に感謝すればよいのか、どうなんだこれは・・・」
ラルグス・テイン副騎士団長は部下の報告を聞いて溜め息をついた。
「ご苦労。下がって良い」
ラルグスは部下を下がらせると、仕事机の上に置いてあった冷めた珈琲に口をつけた。
「む・・・」
想定していた以上の苦みが口の中に広がり、ラルグスは顔を顰める。煎れ方を間違えたのか、それとも今の自分には普通の珈琲ですら苦く感じてしまうほど精神的にまいってしまっているのか・・・
ラルグスはやれやれと首を振ると、部下が持ってきた分厚い報告書に目をやった。
「正しく山積み・・・だな」
ここ王都は広大な規模を誇る、世界でも五本の指に入る大都市だ。人口が多くなるとそれだけ事件などトラブルが増えるが、この王都の事件発生件数は世界各国の大都市の中でもワースト1である。
理由は何より腕自慢の冒険者が集まるから、であろう。腕っぷしに自信のある冒険者・・・特に新米何かは自分が強者だと思ってすぐに他人とトラブルを起こす。毎日冒険者の起こす事件は十件は最低でも起きるのだ。
その対応に取り組んでいるのは、王都の治安維持を任されているラルグスであった。本来ならば副騎士団長のやる仕事ではないが、あまりに王都の治安維持業務というのが多忙であるのと、高度な判断が仰がれる場面が多いので、いつの間にかラルグスが直接口を出すようになっていた。
当然ラルグスの業務は多忙を極めるようになり、庁舎に泊まり込むのも珍しくはないほどであった。
そんなラルグスの元に上がってきた報告・・・それはセントラルギルト職員アンドレの汚職。
あろうことか信用第一の冒険者ギルドの職員が職場で入手した情報を元に冒険者に犯罪を教唆し、金銭を得ていたという前代未聞の大事件。
関わっていたであろう冒険者の数は三桁に及び、ここ近年王都にたむろしている犯罪者集団を束ねていたとの報告も上がっている。
この異例の大事件にセントラルギルドはもちろん、騎士団も汚職が横行していないかの内部調査が行われるようになった。そしてやってみると埃が出るわ出るわの大騒ぎだ。
ラルグスの目の前にある報告書は、昨日起きた王都での事件に関するものと、騎士団内で判明した汚職に関するもの。両方ともが山になっていた。
「一体どうすればいいんだ、これ・・・」
アンドレの汚職については既に騎士団のほうで捜査が進められていたが、決定打に欠け逮捕することが難しい状態となっていた。
そんなアンドレの逮捕は騎士団の悲願であるはずだったが、実際に叶ってみるとラルグスの負担が大幅に増すという予想外のことが起きる。
「ゴウキ君に感謝すればよいのか、どうなんだこれは・・・」
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