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ゴウキ・ファミリー

面白い乱入者

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「いや、だからさ・・・ゴウキが言ったじゃん?ゴルドーが吐いたって」


アンドレの背後にはいつの間にかスミレが立っていた。
ゴルドーに張本人だ。


「半グレの中じゃ少しはマシなのかもしれないけどさー、所詮半端者なんだよ。本格的な冒険者ほど肝が据わっているわけでもない、騎士ほど忠誠を誓っているわけでもない、ちょっとすぐに吐いたぜ」


何でもないことのようにスミレは言うが、実際のところどれだけ苛烈な拷問が行われていたかはゴウキすらも知らない。ゴウキは朝起きてフォースギルドを襲撃しようとしたゴルドー達が、スミレの尋問によってアンドレの名を出した、としか聞いていない。
ちなみにゴウキは眠るとちょっとやそっとでは起きないので、昨晩のゴルドーが引き起こした大爆発時のことは知りもしなかったという。


「はっ・・・」


なんてことだ、口ほどにもないじゃないかと詳しい事情を知らぬアンドレは心の中でゴルドーを詰る。
少女スミレが言うように所詮半端者でしかないなと。
勝手に自分を持ち上げ、勝手に行動を起こし、勝手に自滅して自分を巻き込もうとしている。わかってはいたが、やはり半端者は駄目だ。


「はぁ・・・ったく、これだからバカどもは」


アンドレはもはやこれまでと観念した。
アンドレが暴走しそうだということはどこかで察していたはずなのに、それでもこれまで都合の良い自分の手足となってくれていたゴルドーのことをどこか信頼してしまい、危機管理が出来ているようで出来なかった。アンドレはそんな自分の情けなさに自嘲的に笑う。


「犯罪を教唆して美味しいとこだけ啜ってたお前が偉そうなことを言うな。そういうずるいことばっかしてるやつはいずれ報いを受けるに決まってんだ」


「・・・ま、そういうことですかね」


ゴウキの言葉にアンドレは素直に頷く。
大人しく彼に捕まろう・・・そう観念したときだった。


「アンドレさん!」


耳をつんざくような大声が辺り一帯に響いた。
声のした方を見ると、ゴウキよりも遥かに大柄の大男が、アンドレの元に走り寄ろうとしていた。


「なんだぁてめぇ?」


ゴウキは大男の前に立ちはだかる。大男は邪魔をするゴウキを排除しようと、腕を振り上げて振り下ろす。


「っ!!」


ズンッ


それはとても鋭く、重い一撃だった。腕を交差させて防御したゴウキの足が僅かに地面に沈みそうになる。


「アンドレさんに何する気だ!」


そう言い、大男は更に攻撃を繰り出した。


ゴスンッ


体からは想像も出来ぬほど、速く鋭い攻撃の連続にゴウキは一撃だけ良いのを顔面に貰ってしまう。


「アンドレさんの敵は俺の敵だ・・・許さないぞ・・・」


大男から強烈に発せられる殺気を受け、ゴウキは口から血を流しながらも口角を上げた。


「なんだ、面白そうなやつがいるじゃねぇか」


そう言うゴウキは、それはそれはとても楽しそうに笑っていた。
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