『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

まだ逃げられる

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「ゴウキッ・・・」


アンドレの口からゴウキの名が漏れる。
黒髪に額に大きな古傷。冒険者ギルドで働く者で、彼のことを知らぬ者はいない。
直接応対したことはないが、勇者パーティーに属していた頃からアンドレもゴウキのことは知っていた。ここ最近はゴウキが暴れまわっていたので尚のことチェックしている。


「ほぉ、俺のことを知ってるのかい」


ゴウキはアンドレの方へ一歩近づく。

ドクン

アンドレの胸が緊張で高鳴った。
悪い予感が的中した。自分はここで捕まるのだろう。
そんな確信があった。だが


「そりゃもう・・・ゴウキさんのことは有名ですから」


アンドレはお道化たように笑って見せた。

(まだ僕がゴウキ達が狩っていたガキどもの元締めだと確信されているわけがない。疑われている段階に過ぎない。だからまだ逃げようはある・・・!)

あくまでこの場はゴウキからの追究から逃れ、後でこの王都から脱出しよう・・・アンドレはそう考えていた。


「ところで僕に何の用事ですか?」


証拠は何もないはずだ、そう思ったアンドレはこの場を切り抜けるようにしらばっくれることにした。
愛想笑いをするアンドレに対し、しかめっ面のままのゴウキが近づいた。
緊張で胸が高鳴るが、アンドレは笑顔を崩すことはない。切り抜けられる、切り抜けてみせる、今さえ誤魔化せば・・・その一つの希望がアンドレのメンタルを支えていた。


「ゴルドーに聞いたよ。お前が半グレ・・・半端者の犯罪者どもの元締めなんだってな」


「!?」


ゴルドーの名がゴウキの口から出た瞬間、アンドレの全身から冷や汗がぶわっと湧いて出た。表情が一瞬にして固まり、思考が停止する。


(馬鹿な!あいつが、まさかあいつが吐いただと!?)


愚鈍なまでに自分に忠誠を使っていたゴルドーの裏切りを知り、アンドレは衝撃を受けた。
ゴルドーは馬鹿だが、いや、馬鹿だからこそ忠義には厚い。例え拷問にかけられてでも自分の名を出すことは無いと思っていた。そう信じていた。


「ゴルドー・・・冒険者のゴルドーさんのことですか?私のことを何か言っていたんですか?」


をかけている可能性がある。
アンドレはそう踏んで、まだとぼけてみせた。ゴルドーとはギルドでしか会っていない。セントラルギルド職員は特定の冒険者と懇意にしてはいけないという内規がある手前、プライベートで会ってはいけないからだ。そしてギルドではプライバシーが厳重に管理されている商談室でのみゴルドーと話をしている。だからゴルドーとアンドレの関係は推測することは出来ても、バレているはずはない・・・そうアンドレは確信していた。
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