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ゴウキ・ファミリー

ニンジャ

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「なっ・・・!」


ゴルドーは驚きのあまり声を失う。
否、ゴルドーだけでなく、この場にいた誰もが唐突なスミレの登場に絶句していた。斥候職の女も全く気配に気付くことがなかった。


「いつの間に俺達の背後を・・・!」


「アタシ、忍者だから」


「アイエェ!?ニンジャナンデ!?」


一同はスミレから距離を取り、身構える。


「大声出すんじゃねーよ・・・」


スミレは後頭部をポリポリかきながら、溜め息をついた。



「あとゴウキは今あそこに寝泊まりしてるんだ。アイツここ最近はけっこー働いてて疲れてるから、出来れば今は休ませて欲しい。相手は変わりにアタシがやるからさ」


そう言ってスミレは一歩踏み出す。
瞬間、ゴロツキ達が一斉に動き出した。ぐだぐだと話をする必要はない。先手必勝!・・・のはずだったが


「「「なっ・・・!?」」」


皆の動きがピタリと止まる。
否、


「う、動けない・・・!?」


ゴルドーは自分の体に何が起きているのか理解できなかった。
鞘から素早く剣を抜いて、スミレに振りかかるつもりだった。だが、今は足を踏み出そうとした体勢のまま体が石化したかのように動かない。顔だけは動くので他のメンバーの様子を見ると皆一様に動けない様子で、ゴルドーは
漸くスミレが何かしたのだと理解する。


「あぁ、無理に動かないほうがいいぜ?スパーンと大事なところが切れても知らねーから」


スミレが首を動かして仲間の様子を見ていたゴルドーに言った。
何を?とゴルドーが疑問に思っていると、そこでふと、自分の頬から血が流れているのがわかった。
手を頬に当てたいところだが、腕が動かないのでそれはできない。

そうして今更になって察する。
自分の体にまとわりついている違和感。全方向から締め付けられるような感覚。


「糸か・・・!?」


「へぇ」


ゴルドーが自分の体が拘束されているトリックに気が付いたのを見て、スミレが感嘆の声を上げる。

かつて冒険者としてダンジョンに潜っていた全盛期、大型の蜘蛛の魔物が吐く糸によって体を拘束されたことがあったゴルドーはいち早く今の状況を理解した。
ここにいるゴルドーとその仲間達は全員見えない糸によって縛られているのだと。


「無理に動くなよ。アタシの糸は簡単には見えないほどに細いが、下手な金属よりずっと硬くて切れるんだ。力づくで引きちぎろうとしたもんなら、体のほうが真っ二つになっから」


スミレの忠告を聞いて、ゴルドーの仲間達は顔面を蒼白になり早々に戦意を喪失した。
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