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ゴウキ・ファミリー
見え見えのひっかけ
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「すげぇな、やっぱアンドレさんはクレーマー対応が完璧だわ」
女職員がクレーマーと言ってアンドレに押し付けた冒険者は、アンドレが対応すると徐々にテンションを下げていき、最後は落ち着いて話をするようになった。冒険者は実のところセントラルギルドの職員の不手際によって不利益を被った被害者なのだが、一も二もなくクレーマーと断言して相手をするところにこのギルドの職員の傲慢さが伺える。
「アンドレさんはクレーマー担当にしてもらいたいよな」
「駄目だよ。そしたら今以上に忙しくなって書類仕事代わりにやってもらうことできなくなるもん」
「だな」
アンドレの接客を遠目に見ている職員二人は、そんなこと勝手なことを言いながら咥え煙草で気だるそうに書類仕事に手をつけていた。
セントラルギルドの職員の仕事の質は悪い。もちろん、接客態度も褒められたものではない。
そんなセントラルギルドにまともな人間がいれば、自然とその職員の評判は良くなる。ノーラとアンドレがそうだ。
アンドレはたまたま巡りあわせがなくゴウキと会うことはなかったが、中には仕事をする際には受付にアンドレを指名する冒険者達も少なからず存在した。
「ありがとう、アンタに話を聞いてもらって良かったよ。また何かあったらアンタを頼っていいかな・・・?」
「もちろんですとも、光栄です。冒険者様あってのギルドです。私に力になれることがおありでしたら、何でもお申し付けください」
怒り心頭で怒鳴りこんできたはずの冒険者は、アンドレの接客を受け終わって帰る頃には笑顔を見せていた。
ーーーーー
それからしばらく後・・・
「アンドレさん、冒険者様がご指名です。第3商談室までお願いします」
「はい、わかりました」
呼びに来た職員に返事をすると、アンドレは他の職員に頼まれてこなしていた書類仕事を中断し、冒険者が待っているという部屋に向かう。
「おや・・・」
「どうも、ご無沙汰しています」
アンドレは部屋に入るなり、ソファにかけていた男を見て目を見開いた。
アンドレを指名した冒険者は、大柄の強面の20代後半の男だった。スキンヘッドに、タトゥーが顔面左半分に入っている。
「久しぶりだねゴルドー」
アンドレはそう言って反対側のソファに腰を掛ける。そして徐に胸ポケットから煙草を取り出して、火を着けた。
「悪いね。君は吸わないだろうが、ギルドで同僚のいるところで吸うと、何となく僕のイメージが変わっちゃいそうでさ。イメージは今のままのがいろいろ都合がいいんだよね」
アンドレはそう言ってふんぞり返って足を組む。ギルドでは他の職員はただの一度も見たことない態度のアンドレだった。
「それで?一体用事というのはなんだいゴルドー」
ふぅーっと煙を吐き出してアンドレが訊ねる。
ゴルドーと呼ばれた冒険者は、神妙な面持ちで言った。
「ボス。子飼いにしている連中が、次から次へと狩られています」
「知ってる。ゴウキとその仲間だったね、フォースギルドの」
神妙な面持ちのゴルドーを、まるで動じない様子のアンドレの瞳が見つめる。
「上納金が半分・・・いや、三分の一以下になりそうな勢いです」
「そうだろうね」
「狩られた連中がケツ持ちしろとせっついています。不満がくすぶっていて他に飛び火しそうな勢いです。不満解消してやる意味でも、何かしらゴウキに報復をするべきです」
ゴルドーは前のめりになって訴えかけた。
「フォースギルドの襲撃でも、何でもやりますよ。命令をください。俺直々にやるんでしくじることはありません!」
力むゴルドーを余所に、アンドレは溜め息とともに冷めた声で言った。
「やめときなさい。一連の大暴れは、ゴウキの釣りだというのがわからないのかい?ちょっと釣り針がでかすぎるよ」
半グレ達の大ボス、アンドレはゴウキの釣りを見破っていた。
女職員がクレーマーと言ってアンドレに押し付けた冒険者は、アンドレが対応すると徐々にテンションを下げていき、最後は落ち着いて話をするようになった。冒険者は実のところセントラルギルドの職員の不手際によって不利益を被った被害者なのだが、一も二もなくクレーマーと断言して相手をするところにこのギルドの職員の傲慢さが伺える。
「アンドレさんはクレーマー担当にしてもらいたいよな」
「駄目だよ。そしたら今以上に忙しくなって書類仕事代わりにやってもらうことできなくなるもん」
「だな」
アンドレの接客を遠目に見ている職員二人は、そんなこと勝手なことを言いながら咥え煙草で気だるそうに書類仕事に手をつけていた。
セントラルギルドの職員の仕事の質は悪い。もちろん、接客態度も褒められたものではない。
そんなセントラルギルドにまともな人間がいれば、自然とその職員の評判は良くなる。ノーラとアンドレがそうだ。
アンドレはたまたま巡りあわせがなくゴウキと会うことはなかったが、中には仕事をする際には受付にアンドレを指名する冒険者達も少なからず存在した。
「ありがとう、アンタに話を聞いてもらって良かったよ。また何かあったらアンタを頼っていいかな・・・?」
「もちろんですとも、光栄です。冒険者様あってのギルドです。私に力になれることがおありでしたら、何でもお申し付けください」
怒り心頭で怒鳴りこんできたはずの冒険者は、アンドレの接客を受け終わって帰る頃には笑顔を見せていた。
ーーーーー
それからしばらく後・・・
「アンドレさん、冒険者様がご指名です。第3商談室までお願いします」
「はい、わかりました」
呼びに来た職員に返事をすると、アンドレは他の職員に頼まれてこなしていた書類仕事を中断し、冒険者が待っているという部屋に向かう。
「おや・・・」
「どうも、ご無沙汰しています」
アンドレは部屋に入るなり、ソファにかけていた男を見て目を見開いた。
アンドレを指名した冒険者は、大柄の強面の20代後半の男だった。スキンヘッドに、タトゥーが顔面左半分に入っている。
「久しぶりだねゴルドー」
アンドレはそう言って反対側のソファに腰を掛ける。そして徐に胸ポケットから煙草を取り出して、火を着けた。
「悪いね。君は吸わないだろうが、ギルドで同僚のいるところで吸うと、何となく僕のイメージが変わっちゃいそうでさ。イメージは今のままのがいろいろ都合がいいんだよね」
アンドレはそう言ってふんぞり返って足を組む。ギルドでは他の職員はただの一度も見たことない態度のアンドレだった。
「それで?一体用事というのはなんだいゴルドー」
ふぅーっと煙を吐き出してアンドレが訊ねる。
ゴルドーと呼ばれた冒険者は、神妙な面持ちで言った。
「ボス。子飼いにしている連中が、次から次へと狩られています」
「知ってる。ゴウキとその仲間だったね、フォースギルドの」
神妙な面持ちのゴルドーを、まるで動じない様子のアンドレの瞳が見つめる。
「上納金が半分・・・いや、三分の一以下になりそうな勢いです」
「そうだろうね」
「狩られた連中がケツ持ちしろとせっついています。不満がくすぶっていて他に飛び火しそうな勢いです。不満解消してやる意味でも、何かしらゴウキに報復をするべきです」
ゴルドーは前のめりになって訴えかけた。
「フォースギルドの襲撃でも、何でもやりますよ。命令をください。俺直々にやるんでしくじることはありません!」
力むゴルドーを余所に、アンドレは溜め息とともに冷めた声で言った。
「やめときなさい。一連の大暴れは、ゴウキの釣りだというのがわからないのかい?ちょっと釣り針がでかすぎるよ」
半グレ達の大ボス、アンドレはゴウキの釣りを見破っていた。
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