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ゴウキ・ファミリー
王都にのさばるゴミ
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「半端者で構成された犯罪者集団だと・・・?」
4区ではそこそこの数の酒場が昼間から営業している。そこでディックと飲み交わしているゴウキは、自分に絡んできた追いはぎの正体を知って素っ頓狂な声を上げた。
「何と言うかな・・・明確な名称を持った組織じゃなく、半端者の寄せ集めどもを総括してる元締めみたいなやつがいるんだ。さっきのやつらはそいつの子飼いの一つだ。奴ら同じ勢力内で争わないために特徴的なアクセサリとか身に付けているから、見るやつが見ればすぐにわかる」
「なんだそりゃ」
「半端者の愚連隊だから半グレって俺達は呼んでる。その半グレが悪さするのを許容したり何かあったときにバックアップすると約束する代わりにに、上納金を取って肥やしてるやつがいるのさ」
「質が悪いな」
「そうだ質が悪い。奴ら見境も何もないから目茶苦茶する。救いなのは所詮半端者だからそこまで大がかりなことは出来ないってことなんだがな。さっき兄弟に絡んだときのようにな」
「あぁ・・・」
あれは手際が悪かったなとゴウキは思いながらビールに口をつけた。
「さっきのは多分冒険者崩れだろうな。冒険者として最初身を立てようとしたが、何かで挫折したか、冒険者狩りをしたほうが効率よく稼げると思っちまったか、まぁそんなところだろう。だから大した勘も身に付かず、兄弟の危険度を察知することも出来ずに、『名のある冒険者でも多対一ならどうとでもなる』とか考えちまったんだろうな」
「はっ、安く見られたもんだ」
「そういう馬鹿がそこら中にいるのが今の王都なんだよ」
ゴウキはディックの言葉に絶句する。
勇者パーティーにいるときは、まぁ多少の脱線はありつつも基本は王都の平和のためという名目で活動をしていた。だがその専らの敵は魔物のような外敵だ。
対人間、それも王都内部にこんなに問題があったとは思わなかった。
「治安が良いわけじゃねぇなとは思っていたが・・・」
「良いか悪いかで言えば、総合的には王都の治安はわりと悪いな。3区と4区は犯罪だらけだ。憲兵も手があまり回らないしな」
ディックの言葉に更にショックを受けるゴウキ。勇者パーティーにいたときは治安の良い1区に住んでいたとはいえ、まさか王都がこんなひどい状態になっているとは・・・と唖然とした。
「ま、俺らも4区で奴らをのさばらせるわけにもいかず、そこそこ手間をかけて奴らを殲滅を手掛けてるわけよ。ただ頭を潰さねぇといくらでも湧いてきたな・・・この王都ってまさかこんなに屑野郎どもが多いとはな」
ディックはビールを一気にあおって溜め息をついた。
ゴウキはそんなディックを見て、自責の念にとらわれる。
「しかも半グレどもは頭がバックについてくれていると言われて無茶するが、実際にケツに火が付いたら放置だ。半端者だから切っても痛くも痒くもないんだろうな。どれだけ奴らを締め上げても大元に辿りつかねぇ」
苦労している様子がありありと感じられるディックの言葉を聞いて、ゴウキは拳を握り締め体を奮わせた。
「それこそ勇者パーティーで英雄ごっこなんかしている場合じゃなかったんだな・・・」
勇者パーティーにいた時、どれほど自分達がいろいろなものを見ずに適当に過ごしていたのかと痛感する。自分よりもディックのほうが治安維持のために活動していたんじゃないかと、ゴウキは半グレだけでなく、自分自身にも怒りがわいていた。
「半グレを仕切ってる奴とやら、きっちり締め上げねぇとな」
ダンジョンアタックどころの話じゃねぇなと、ゴウキは次の目標を決めた。
クレア達がやらないなら、俺がやろうと。
4区ではそこそこの数の酒場が昼間から営業している。そこでディックと飲み交わしているゴウキは、自分に絡んできた追いはぎの正体を知って素っ頓狂な声を上げた。
「何と言うかな・・・明確な名称を持った組織じゃなく、半端者の寄せ集めどもを総括してる元締めみたいなやつがいるんだ。さっきのやつらはそいつの子飼いの一つだ。奴ら同じ勢力内で争わないために特徴的なアクセサリとか身に付けているから、見るやつが見ればすぐにわかる」
「なんだそりゃ」
「半端者の愚連隊だから半グレって俺達は呼んでる。その半グレが悪さするのを許容したり何かあったときにバックアップすると約束する代わりにに、上納金を取って肥やしてるやつがいるのさ」
「質が悪いな」
「そうだ質が悪い。奴ら見境も何もないから目茶苦茶する。救いなのは所詮半端者だからそこまで大がかりなことは出来ないってことなんだがな。さっき兄弟に絡んだときのようにな」
「あぁ・・・」
あれは手際が悪かったなとゴウキは思いながらビールに口をつけた。
「さっきのは多分冒険者崩れだろうな。冒険者として最初身を立てようとしたが、何かで挫折したか、冒険者狩りをしたほうが効率よく稼げると思っちまったか、まぁそんなところだろう。だから大した勘も身に付かず、兄弟の危険度を察知することも出来ずに、『名のある冒険者でも多対一ならどうとでもなる』とか考えちまったんだろうな」
「はっ、安く見られたもんだ」
「そういう馬鹿がそこら中にいるのが今の王都なんだよ」
ゴウキはディックの言葉に絶句する。
勇者パーティーにいるときは、まぁ多少の脱線はありつつも基本は王都の平和のためという名目で活動をしていた。だがその専らの敵は魔物のような外敵だ。
対人間、それも王都内部にこんなに問題があったとは思わなかった。
「治安が良いわけじゃねぇなとは思っていたが・・・」
「良いか悪いかで言えば、総合的には王都の治安はわりと悪いな。3区と4区は犯罪だらけだ。憲兵も手があまり回らないしな」
ディックの言葉に更にショックを受けるゴウキ。勇者パーティーにいたときは治安の良い1区に住んでいたとはいえ、まさか王都がこんなひどい状態になっているとは・・・と唖然とした。
「ま、俺らも4区で奴らをのさばらせるわけにもいかず、そこそこ手間をかけて奴らを殲滅を手掛けてるわけよ。ただ頭を潰さねぇといくらでも湧いてきたな・・・この王都ってまさかこんなに屑野郎どもが多いとはな」
ディックはビールを一気にあおって溜め息をついた。
ゴウキはそんなディックを見て、自責の念にとらわれる。
「しかも半グレどもは頭がバックについてくれていると言われて無茶するが、実際にケツに火が付いたら放置だ。半端者だから切っても痛くも痒くもないんだろうな。どれだけ奴らを締め上げても大元に辿りつかねぇ」
苦労している様子がありありと感じられるディックの言葉を聞いて、ゴウキは拳を握り締め体を奮わせた。
「それこそ勇者パーティーで英雄ごっこなんかしている場合じゃなかったんだな・・・」
勇者パーティーにいた時、どれほど自分達がいろいろなものを見ずに適当に過ごしていたのかと痛感する。自分よりもディックのほうが治安維持のために活動していたんじゃないかと、ゴウキは半グレだけでなく、自分自身にも怒りがわいていた。
「半グレを仕切ってる奴とやら、きっちり締め上げねぇとな」
ダンジョンアタックどころの話じゃねぇなと、ゴウキは次の目標を決めた。
クレア達がやらないなら、俺がやろうと。
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