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ゴウキ・ファミリー

謎の半端者達

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パチパチと、柏手を打つ音がその場に轟く。


「ディック・・・?」


柏手の主はゴウキの4区での旧友ディックだった。



「兄弟にかかっちゃ大体のやつは弱いと思うけどね・・・相変わらず瞬殺だな」


ポカンとしているゴウキから、腹を殴られて悶絶しているリーダー男に視線を移してディックは笑った。
そして腰を抜かして失禁している白魔法士の男の顔面に蹴りを入れる。


「ぐぁっ」


蹴られた男は地面に転がされてからディックを見て後ずさりし、恐怖で顔を歪めながら


「す、すみませんすみません・・・」


と念仏のように謝罪の言葉を繰り返した。
それにつられて黒魔法士の女も同じように謝罪を繰り返す。



「どうだ?ほんと弱いだろこいつら」


謝罪を繰り返す黒魔法士のほうを蹴り倒しながら、ディックは言った。


「こいつらな、ここ最近俺らの縄張りで好き勝手してる奴らのメンバーなんだわ」


笑うのやめ、ディックの表情が冷たい感情のないそれに変わる。そしてどこからともなくゾロゾロとゴウキ達と同い年か少し年下かの男達が現れ、強盗組を素早く拘束していった。


「警戒していたところに引っかかったかと思えば、まさか兄弟に絡んでたとはなぁ・・・笑っちまうよ」

言葉とは裏腹にディックは能面のように無表情だった。




「お前らっ・・・!こんなことしてどうなるかわかってるんだろうな!!」


悶絶していた状態からいくらか回復したリーダー男が拘束された状態のまま叫ぶ。


「ほぉ?どうなるんだ」


ディックは挑発するようにリーダー男の前に立ち、お道化た調子でそう問う。


「俺達のバックにはグレイヴさんがついているんだぜ!俺達にこんなことしたことが知られたら、お前ら全員あの世に行くことになる!!」


ヒステリックな叫びが空しく響く。
その場にいる誰もリーダー男の言葉に反応を示さない。


「知らねぇな。誰だそいつは?おい、連れてけ」


ディックはつまらなそうにそう言い、強盗団は拘束されたまま連れていかれる。
叫んでいた男はさるぐつわをされ、叫べないようにされてから頭を鈍器で殴られ気を失った。大男はゴウキの一撃以降まるで動かない。白魔法士と黒魔法士は唯々諾々と連れていかれた。


「ハズレ・・・か」


ディックは連れられて行く彼らを見て、大きく溜め息をついた。


「あいつら下っ端も下っ端で多分ボスの顔も見たことないただの雑魚だ。拷問しても何も引き出せそうにないな」


「グレイヴとか言ってなかったか?」


「そりゃ多分偽名だ。奴らのボスは名前を簡単に名乗ったりはしない。少なくともさっきのような場面で簡単にゲロするような奴らにはな。ったく、いたちごっこだぜ」


ディックは4区でも顔がそこそこ聞いているギャングだが、丁度そんな彼の敵対する組織の連中がゴウキに絡んできた・・・
その構図を理解してゴウキは「なんて偶然だ」と苦笑いを浮かべる。


「あいつらって何なんだ?」


俺が問うと、ディックはくいっと親指で近くの酒場を指しながら言った。


「んじゃ一杯飲みながら話すか。もう酒飲んでも良い身分なんだろ?」
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