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ゴウキ・ファミリー

圧力

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バルジ王国において弱小も弱小の冒険者ギルドであるフォースギルドから史上最高の宝物持ち込み査定額が叩き出されたのは、界隈で大きなニュースになっていた。それまでセントラルギルドが持っていた記録を大幅に塗り替える額であったから当然だった。


「査定に色付けたんじゃねぇの?」


「色付けたってレベルじゃねぇだろ?大体色つけたってそれを支払うのはギルドだぜ。何のメリットがあるんだよ」


「ギルドマスターのセシルが痩せこけながら必死に金用意してるのを見たぜ」


「買い取った宝物、早く売りさばいて現金化したいけど量が多すぎて中々終わらないらしい」


「最近は銀行屋も積極的にあそこにアプローチかけてるってよ。これまでセシルが銀行に足運んだって冷ややかだったってのに」


皆が思い思いに噂をする。
そして皆が当然疑問に持つ。


「で、どうやってそれだけの量の宝物を持ち帰ったんだ?」


「忍者だから」で納得した者は一人もいなかったという。




ーーーーー




「そんなわけでして、しばらくは素材とか持ちかえってもらっても、すぐには換金できません」


フォースギルドにてノーラは「ダンジョンにでも行くか」と言ったゴウキ達に対してそう釘を刺した。
史上最高額の換金を終えたフォースギルドは、今だ現金化の終わらぬ宝物の対処で大忙しだった。特にセシルが。


「忙しいなら人雇えよ。でそれなりに潤ってんだろ?」


スミレが指でお金を示すジェスチャーをしてノーラに迫る。


「その雇う人の面接をしている時間すらないんですよ。誰でもいいわけじゃないってセシルさんの方針で。まぁ、そもそも面接以前にろくな応募がありませんが」


ノーラはそう言いながら机の上の書類をバリバリと捌いていく。
重ねて言うが、フォースギルドは王都でも最弱も最弱。そんな最弱のギルドに雇ってもらおうとやってくるのは事情有りの人か食い詰め者くらいである。


「どうしましょう。換金はしばらく置いておいて、ダンジョンアタックだけはします?」


収納魔法でいくらでも仕舞っておきますから!とリノアが握りこぶしをして言った。


「そうだな・・・前ので肩慣らしは終わったから、少しダンジョンのレベルを上げて行ってみるか・・・」


咥え煙草で考える仕草をしながらゴウキがそう答えると、そこへバァン!と大きな音を立て、セシルがギルドに入ってきた。


「あぁ、くそったれめ!セントラルギルドのやつやってくれやがった!!」


セシルは苛立たし気にドスドスと歩いていたが、ゴウキ達の姿を見つけると立ち止まった。


「な、なんだよお前ら。昼間のこんな時間からこんなところに屯してやがってよ?」


セシルは何故か焦っているようだった。ゴウキ達がギルド内にいるとは考えてなかったようである。


「おい、セントラルがどうしたんだ?」


ゴウキが問うと


「あ?あぁ、なんでもねぇよ」


と僅かに視線を逸らしてセシルが答える。どう見ても挙動不審だった。


「・・・俺が関係あるのか?」


セントラルギルドについて思い当たることがあるゴウキはそう訊ねた。
セシルは口を噤んでいたが、それでもしらばっくれても駄目だと考えたのか、やがて観念したように徐に口を開いた。


「お前らの収穫物をいろいろな業者使って現金化してたんだけどよ。急にストップがかかっちまったんだ。セントラルからの圧力があって、どこの業者もうちのギルドからは買えないとさ」


「なんだと・・・?」


ゴウキは唖然として、咥えていた煙草を落としそうになった。
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