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追放後

クレアの衝撃

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勇者パーティーはバラバラだった。

ゴウキの起こした問題の火消しのために奔走し、結果厳しい処分を与えつつも、それでも決してゴウキを手放すつもりはなかったクレア。
一方で表向きはクレアに同調しつつも、裏ではしっかりと下準備をしてゴウキの追放を目論んでいたリフト。

クレアは人を疑わない。自分の仲間なら尚更だ。
だからリフトの行動に対して若干の違和感を感じることがあっても、何か企みがあるとどこかで察しても、それは最終的に仲間に悪意を及ぼすものではないと考える。リフトがゴウキの追放を企んでいるなんてことは夢にも思っていなかった。多少反目し合うことが多くても、仲間としてお互い結束できていると思っていた。


だが、クレアのそれは残念ながら幻想であった。





「脱・・・退・・・?」


クリスタルダンジョンから大急ぎで王都に戻り、クレアが一番最初に向かったのはセントラルギルドであった。
先日出したゴウキの一時脱退処分を解除するとギルド職員に申し出たクレアは、そこで驚愕の事実を知ることになった。
ギルドへはゴウキの一時脱退ではなく、脱退・・・追放処分の手続きの届けが出されたことになっていたのだ。


「はい。当ギルドでも手続きは完了していますし、既に王城へも送付され、受理されています。退ではなく、退の手続きが落ち度無く完璧に完了しています」


カウンターでクレアの応対をしているのは、偶然にも以前ゴウキと接していた係長だ。
係長は表面上、クレアに対して訝しんだ様子でいるように見せているが、内心は笑いたいのを堪えていた。周囲でやり取りを聞いている別の職員はクレアに見えないように口角を上げていたりしている。


「ち、違います・・・脱退処分ではなく、あくまで仮の、一時脱退処分で・・・」


クレアはあまりのことに呆然として言葉がすらすらと出てこなかった。
彼女自身、今自分が何を言われたのか、今どういった状況になっているのか、頭で理解が追い付いていなかった。


「ふぅむ、なにやら手違いがあったようですね?一度調べてみましょう。明日になったら調査が終わっていると思うので、明日またお越しいただいてもよろしいでしょうか?」


係長の言葉に「もっと早くはなりませんか?」と言いたいのをグッと堪え、クレアは小さく頷いて踵を返した。
セントラルギルドへ訪れる冒険者はクレアだけではない。彼らとて多忙なのだ。それがわかっていながら、クレアはどうしようもないもどかしさを感じていた。


「・・・そうだ、ゴウキに話さないと!」


そこで、クレアはゴウキに事を思い出した。
すぐにゴウキの元に行き、真相について話さなければならない。手紙によって大体の事情はわかっているだろうが、ギルドのように行き違いで脱退処分と伝わっている可能性もある故に、クレアはいてもたってもいられずに全速力でゴウキの住んでいる借家へ向かった。


だがそこに既にゴウキはいない。


「そんな・・・」


ゴウキが引き払って空室になっている部屋の扉の前で、クレアは呆然と立ち尽くした。
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