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追放後

記録的査定額

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黒鉄のダンジョンに潜った翌日、ゴウキ達は揃ってフォースギルドまでダンジョンの収穫物の換金に来ていた。


「こちら全部で…31億ベリカになりますね」   (1円=10ベリカ程度)


フォースギルドの買い取り査定担当のドム爺と呼ばれる白髪の老人は、ゴウキ達が持ち帰った宝物の山を査定して価格をつけた。
黒鉄のダンジョンはそこそこのレベルのダンジョンだけあって、モンスターホームで回収した冒険者達のものと思われる武具も良いものが揃っており、良い値をつけた。
ちなみに最も高値をつけたのはラーハルトが身に付けていた鎧と剣である。(しっかり回収していた)


「すっげーな!アタシも何度か換金してるけど、ここまでの値をつけたのは初めてだわ」


スミレが驚愕するが、当然と言えば当然であった。リノアが使ったような収納魔法など本来は存在しない。よほどの数の集団 でない限りは、今回ゴウキ達が持ち帰った量の収穫物など一度に査定に出さないのである。


「お嬢ちゃんにとってどころか、多分王都中のギルドの中でも新記録の査定額になると思うよ。長年この仕事をやったきたが、億を越える査定は出したことがないね」


ドム爺は冷や汗を滴しながら査定額を用紙に書き込み、それをゴウキに手渡した。


「んじゃ、金頼むわ」


「出せるわけねーだろ!」


ほいっとゴウキが受付のノーラにそれを手渡すと、それを見ていたセシルが大声を上げた。31億ベリカなどという大金は普通は換金所ですぐに用意できる額ではないのである。弱小ギルドなら尚更だった。


「換金が終わるまで…そうだな、一週間待ってくれ」


「おう、早くしろよ」


このパーティーなら何となく大丈夫だとは思っているが、金関連のトラブルは冒険者達の常だ。だからゴウキは分け前などの生産は早く済ませてしまいと考えている。


「肩慣らしで潜っただけのはずなのに、どうしてこんなことになってんだよ…というかどうやってこれだけの量持ち運んだんだ?」


当然の疑問を投げ掛けるセシルに、ゴウキは答えを言い澱む。リノアの能力を見られたことでラーハルトという面倒なやつに絡まれた。今後そういうリスクは極力回避したいゴウキは、どうにか言い訳できないかと考える。


「まぁ、アタシ忍者だから」


だからこんなの何てことないのよ、とばかりにスミレがアピールする。能力を内緒にしておきたいゴウキの意に沿ったスミレの機転だった。

「忍者…ああ、忍者だからか。流石忍者」

セシルは納得した?ようなのでゴウキは胸を撫で下ろす。
しかしこんなことはバレないわけがない。バレて大騒ぎになるのはそれから少し経過してのことだった。
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