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追放後
おっそーい
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ラルグスと呼ばれた貴族は、地面に横たわるラーハルトの顔を見て目を見張った。
「これは・・・随分とボコボコになってはいるが、ラーハルトか?」
「そうだ。知ってるのか?」
それなら話が早い、引き取ってくれるのかとゴウキは胸を撫でおろした。
「信じられん・・・まさか彼をこうしたのは・・・君か?」
「そうだが・・・?」
ゴウキが答えると、ラルグスは破顔した。
「なんと!流石噂に名高きゴウキだ。まさかここまでとは」
自分の名が知れていることにゴウキは驚く。
「良くぞ彼を倒してくれた。騎士団でも内々に処分するつもりで何度か精鋭に向かわせたんだが、中々捕まえることが出来ず、返り討ちに遭うこともしばしばあってね・・・」
ラルグスはそう言って遠い目で溜め息をつく。どうやらラーハルトに関しては騎士団でも放置していたというわけではなく、むしろ苦労をしていたようだった。
「元身内から大恥が出たと知られてはならぬと、公には出来なかった。それが災いして大がかりに討伐隊を送ることも出来ずに中々捕らえることが出来なかったが、まさか民間人がやってくれるとはな」
ラルグスが感慨深げにラーハルトを見下ろす。
ラーハルトは元騎士であり、その彼が冒険者狩りなどしているとは公に出来ず、賞金首にすることも出来なかった。結果として民間人に捕らえられることになってしまったが、それでも一応の決着がついたことにラルグスは安堵していた。
「それにしても良くラーハルトを倒したな。うちでもそれなりに強かったはずなんだが。流石拳鬼ゴウキといったところか」
ラルグスは勇者パーティー選抜のときに試験場におり、ゴウキの実力のほどは良くわかっていた。
だが流石にブラッディ・サイクロンと名を馳せて大暴れをしていたラーハルトをこうもたやすく捕らえてくるほどとは思っていなかった。
「そうだな・・・中々面白い技を使ってきたが、もう少し速さがあればな、危なかった」
「速さ・・・?」
ラルグスは眉を顰める。ラーハルトは騎士団でも屈指の速き剣の使い手だったからだ。
「剣も逃げ足も僅かに俺のほうが速かった。だから竜巻の剣技も正面から打ち破ることが出来たしな。勇者パーティーにいたマリスって剣士のがもっと断然速かったし・・・多分クレアも速い。あと今の仲間のスミレと、デニスも・・・まぁ、要するに俺の知ってるやつと比べてもちょっと遅かったから勝てたんだよ」
ラルグスは唖然としてそれを聞いていた。
騎士団の精鋭を返り討ちにするほどのラーハルトが遅い、などと言われ、驚かぬはずがない。
しかも聞くとラーハルトの得意技のブラッディ・サイクロンを正面から破ったというではないか。
実はこの時、ラーハルトはうっすらと意識を取り戻していた。その気になれば逃げる体制を取ることも出来た。
だが、ゴウキとラルグスとの会話を聞いていた彼は、自身にすっかり自信を無くし、特にそこから動くことはしなかった。心が折れたのである。
「これは・・・随分とボコボコになってはいるが、ラーハルトか?」
「そうだ。知ってるのか?」
それなら話が早い、引き取ってくれるのかとゴウキは胸を撫でおろした。
「信じられん・・・まさか彼をこうしたのは・・・君か?」
「そうだが・・・?」
ゴウキが答えると、ラルグスは破顔した。
「なんと!流石噂に名高きゴウキだ。まさかここまでとは」
自分の名が知れていることにゴウキは驚く。
「良くぞ彼を倒してくれた。騎士団でも内々に処分するつもりで何度か精鋭に向かわせたんだが、中々捕まえることが出来ず、返り討ちに遭うこともしばしばあってね・・・」
ラルグスはそう言って遠い目で溜め息をつく。どうやらラーハルトに関しては騎士団でも放置していたというわけではなく、むしろ苦労をしていたようだった。
「元身内から大恥が出たと知られてはならぬと、公には出来なかった。それが災いして大がかりに討伐隊を送ることも出来ずに中々捕らえることが出来なかったが、まさか民間人がやってくれるとはな」
ラルグスが感慨深げにラーハルトを見下ろす。
ラーハルトは元騎士であり、その彼が冒険者狩りなどしているとは公に出来ず、賞金首にすることも出来なかった。結果として民間人に捕らえられることになってしまったが、それでも一応の決着がついたことにラルグスは安堵していた。
「それにしても良くラーハルトを倒したな。うちでもそれなりに強かったはずなんだが。流石拳鬼ゴウキといったところか」
ラルグスは勇者パーティー選抜のときに試験場におり、ゴウキの実力のほどは良くわかっていた。
だが流石にブラッディ・サイクロンと名を馳せて大暴れをしていたラーハルトをこうもたやすく捕らえてくるほどとは思っていなかった。
「そうだな・・・中々面白い技を使ってきたが、もう少し速さがあればな、危なかった」
「速さ・・・?」
ラルグスは眉を顰める。ラーハルトは騎士団でも屈指の速き剣の使い手だったからだ。
「剣も逃げ足も僅かに俺のほうが速かった。だから竜巻の剣技も正面から打ち破ることが出来たしな。勇者パーティーにいたマリスって剣士のがもっと断然速かったし・・・多分クレアも速い。あと今の仲間のスミレと、デニスも・・・まぁ、要するに俺の知ってるやつと比べてもちょっと遅かったから勝てたんだよ」
ラルグスは唖然としてそれを聞いていた。
騎士団の精鋭を返り討ちにするほどのラーハルトが遅い、などと言われ、驚かぬはずがない。
しかも聞くとラーハルトの得意技のブラッディ・サイクロンを正面から破ったというではないか。
実はこの時、ラーハルトはうっすらと意識を取り戻していた。その気になれば逃げる体制を取ることも出来た。
だが、ゴウキとラルグスとの会話を聞いていた彼は、自身にすっかり自信を無くし、特にそこから動くことはしなかった。心が折れたのである。
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