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追放後
ヤバい奴ら
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クレア達がクリスタルダンジョンを進んでいた頃、ゴウキ達はフォースギルドへ赴き、それぞれ冒険者登録をした上でパーティー結成の申請をしようとしていた。
「これは・・・錚々たる顔ぶれですね。・・・ゴウキさんのことだから、普通の人達ではないんだろうとは予想してましたけど・・・」
申請されたメンバーの顔触れを見て、ノーラが感嘆してそうぼやく。
セントラルギルドにそこそこ在籍していたノーラはゴウキ以外のメンバー全員のことを知っていた。凄腕で有名なスミレ、訳ありで有名なリノアはともかく、デニスのことまで記憶に入っているのはゴウキは驚いた。
だがデニスは元々その類稀なる洗練された剣術を買われ、将来は超一流の冒険者になると噂されていたのだ。それを学園卒業とともに美術館の警備員に収まってしまったので、当時冒険者界隈では大きな損失として騒ぎになっていた。
その伝説のデニスすら従えて、こうしてパーティーを組むと申請してきたゴウキをつくづく底の見えない大物であるとノーラは思ったのだった。
「ノーラ、それじゃまずは三人の冒険者登録のほう手続き頼むわ。ゴウキはちょっとこっちに来てくれ」
スミレ達の冒険者手続きをノーラに任せ、ギルドマスターのセシルはゴウキを手招きして呼び寄せる。奥のギルドマスターの部屋まで呼ばれ、ゴウキが入室してドアを閉めた途端、セシルがゴウキの肩に腕を回して冷や汗を垂らしながら捲し立てた。
「お前!あの三人とどこで知り合ったんだよ!?あんなヤベー奴らとパーティー結成するなんて聞いてねーぞ!」
「え?いや、学園でだけど・・・ヤベー奴らって?」
セシルのあまりの剣幕に、ゴウキはたじたじになりながら普通に答える。
セシルははぁーと溜め息をつきながらこめかみを手で押さえた。
「東の国のスーパーニンジャ、モチヅキ・スミレ。誰とも組まずソロでありながらA級ランクの依頼までこなすどころか、どんな強敵を狩ってきても傷一つ負っている彼女を見たことさえないと言われている」
「・・・らしいな」
「剣術において稀代の天才と言われるデニス。口下手さえなければ王国騎士団の剣術指南の職に就かせようという話もあった。それが実現できたならバルジ王国の騎士団のレベルは数段は向上しただろうと騎士団長がハンカチをグギギとかみしめながら悔しがっていた」
「・・・だよな」
「・・・けど、ある意味いちばんヤベーのがリノアって子だな」
ここで、セシルの口調が少し変わった。
「お前さん、あの子のことどれくらい知ってる?」
セシルは探るような目線をゴウキにぶつける。
「『賢者』って呼ばれるに相応しい能力を持っていると、認識はしている」
正式にパーティーを結成が済んでからでないと表沙汰にはしたくないことであったが、ここで正直に答えないと申請を受け付けてもらえないのではないか、そう考えてゴウキはありのままリノアに関することを答えた。
「・・・はぁ、わかっててなおアレらとパーティー組もうってのかよ。つくづくとんでもねー男だなお前さんは」
またも溜め息をついてそう言ったセシルは、最後にゴウキの肩をポンと叩き、神妙な顔になって忠告をした。
「パーティー結成の申請は受け付けるがな、気を付けろよ。この国じゃ、目立つものは何かしら敵を作るんだ。目立てば目立つほどな。勇者がそうであるように」
ゴウキはその忠告を聞きながら「わかってるさ」とだけ答えた。
だが、このときはまだ本当の意味ではわかっていなかった。敵を作る、ということがどういうことか。
「これは・・・錚々たる顔ぶれですね。・・・ゴウキさんのことだから、普通の人達ではないんだろうとは予想してましたけど・・・」
申請されたメンバーの顔触れを見て、ノーラが感嘆してそうぼやく。
セントラルギルドにそこそこ在籍していたノーラはゴウキ以外のメンバー全員のことを知っていた。凄腕で有名なスミレ、訳ありで有名なリノアはともかく、デニスのことまで記憶に入っているのはゴウキは驚いた。
だがデニスは元々その類稀なる洗練された剣術を買われ、将来は超一流の冒険者になると噂されていたのだ。それを学園卒業とともに美術館の警備員に収まってしまったので、当時冒険者界隈では大きな損失として騒ぎになっていた。
その伝説のデニスすら従えて、こうしてパーティーを組むと申請してきたゴウキをつくづく底の見えない大物であるとノーラは思ったのだった。
「ノーラ、それじゃまずは三人の冒険者登録のほう手続き頼むわ。ゴウキはちょっとこっちに来てくれ」
スミレ達の冒険者手続きをノーラに任せ、ギルドマスターのセシルはゴウキを手招きして呼び寄せる。奥のギルドマスターの部屋まで呼ばれ、ゴウキが入室してドアを閉めた途端、セシルがゴウキの肩に腕を回して冷や汗を垂らしながら捲し立てた。
「お前!あの三人とどこで知り合ったんだよ!?あんなヤベー奴らとパーティー結成するなんて聞いてねーぞ!」
「え?いや、学園でだけど・・・ヤベー奴らって?」
セシルのあまりの剣幕に、ゴウキはたじたじになりながら普通に答える。
セシルははぁーと溜め息をつきながらこめかみを手で押さえた。
「東の国のスーパーニンジャ、モチヅキ・スミレ。誰とも組まずソロでありながらA級ランクの依頼までこなすどころか、どんな強敵を狩ってきても傷一つ負っている彼女を見たことさえないと言われている」
「・・・らしいな」
「剣術において稀代の天才と言われるデニス。口下手さえなければ王国騎士団の剣術指南の職に就かせようという話もあった。それが実現できたならバルジ王国の騎士団のレベルは数段は向上しただろうと騎士団長がハンカチをグギギとかみしめながら悔しがっていた」
「・・・だよな」
「・・・けど、ある意味いちばんヤベーのがリノアって子だな」
ここで、セシルの口調が少し変わった。
「お前さん、あの子のことどれくらい知ってる?」
セシルは探るような目線をゴウキにぶつける。
「『賢者』って呼ばれるに相応しい能力を持っていると、認識はしている」
正式にパーティーを結成が済んでからでないと表沙汰にはしたくないことであったが、ここで正直に答えないと申請を受け付けてもらえないのではないか、そう考えてゴウキはありのままリノアに関することを答えた。
「・・・はぁ、わかっててなおアレらとパーティー組もうってのかよ。つくづくとんでもねー男だなお前さんは」
またも溜め息をついてそう言ったセシルは、最後にゴウキの肩をポンと叩き、神妙な顔になって忠告をした。
「パーティー結成の申請は受け付けるがな、気を付けろよ。この国じゃ、目立つものは何かしら敵を作るんだ。目立てば目立つほどな。勇者がそうであるように」
ゴウキはその忠告を聞きながら「わかってるさ」とだけ答えた。
だが、このときはまだ本当の意味ではわかっていなかった。敵を作る、ということがどういうことか。
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