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追放後

勇者達の違和感

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リフトの反応が贈れ、クリスタルウルフに襲われる・・・そう思った瞬間、クレアとマリスの剣がそれぞれ一匹ずつ切り裂き、最後の一匹はリフト自身がギリギリのところで自身の剣で串刺しにしていた。


「・・・終わったわね」


クレアはそう言って納刀し、動かなくなったクリスタルウルフを見下ろす。クリスタルウルフはただのクリスタルの塊になるが、このクリスタルは大して値のつくものではないので採取はしない。

危ないところであったが、クリスタルウルフは何とか全滅させた。だが、ホッと胸を撫でおろしてもいられない。それはパーティーに何となく気まずいムードが流れていたからだ。


「・・・ごめん。少し油断した」


リフトは俯きながら、そう言って謝った。今のはクレアとマリスが動かなかったら、リフトが攻撃を受けていた。
正確にはセイントバリアによって攻撃を防げただろうが、それでも本来必要ない場面で余計な魔力を消費するところであった。明らかな失態である。
原因はリフトの勇み足。良いところを見せようと、でしゃばって全てのクリスタルウルフを一瞬で全て片付けようとして失敗し、隙を作ってしまった。


「仕方ないわ。新しい隊列にしたばかりだもの。慣れればこんなこともなくなるわ」


クレアはそう言ってフォローする。
だが、そのフォローも今のリフトにはナイフのようにプライドに深く突き刺さる。


(馬鹿なっ!どうして仕留めることができなかったんだ・・・いけたと思ったのに!!)


リフトは表情にこそ出さないよう努力していたが、閉じた口の中では歯を食いしばっていた。自分はこの勇者パーティーの中では完璧でなければならないのに、とんだ恥を晒してしまった。

マリスもミリアも何も言わない。そういった気の遣い方が余計にリフトを惨めな気持ちにさせた。

確かに、本来リフトの腕前ならば閃光剣でもって全てのクリスタルウルフは切り裂かれて即死していただろう。だが、そうはならなかった。リフト自身はまだこのとき自覚してはいなかったが、マリスはその原因がわかっていた。


(リフトさんが動くのが早かった。あと0.5秒引きつけてからでも間に合ったし、そのほうが致命傷を与えられたはず・・・焦ってタイミングを間違えた?)


マリスはそのように分析していたが、あえてリフトには言わなかった。今ここで告げることはリフトの心を傷つけると思ったからというのもあるが、彼ならばこの後の戦闘で勘を取り戻して修正できるだろうし、このことにも自分で気付くだろうと思ったからだ。
それともう一つ・・・

リフトに対し意見するだけの資格が自分にはないとマリスは思っていた。
何故なら、先ほど襲われるリフトに助け船を出すとき、マリスもまた若干出遅れていたからだ。
そして実のところクレアもそれは同じであった。

クレアもマリスも、自分に少しばかりの違和感を感じている。
思うように動けなかった。本来ならばリフトが打ち漏らした瞬間には生き残ったクリスタルウルフを追撃できたはずだった。
自らの違和感に戸惑う三人、そんな彼女らを困惑した様子で眺めるミリア。

そうしている四人の元に、今新たな脅威が迫ろうとしていた。
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