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追放後

仲間

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日の暮れていくらか時間が経過した頃、「カムシン」にゴウキがやってきた。

「あ、ゴウキくん。今来ると危ない」

ゴウキを入口で見かけたマスターがそう声をかけるが、ゴウキは意味がわからず首を傾げる。
そのときであったーー







ーーーーー










「なーんだ。そういうことなら早く言えって」


「わ、私はゴウキ先輩を信じてましたけど、早く言って欲しかったです・・・」


スミレは後頭部をかいて笑いながら、リノアは少し気まずそうに俯いてそう言った。
ゴウキを糾弾しようとしていた二人が、事情を知って矛先を収めたのだ。


「早く言えって言うが、まず弁明する時間すら俺には無かったよな」


顔を腫らし、肌が少し焦げ、髪がチリチリになっているゴウキはブスッとして抗議する。
ゴウキはカムシンの店内に入った直後に出合い頭にスミレからグーパンチ、リノアから加減された炎魔法を受けた。もちろん弁明はおろか一言も発する時間すら無い。

ゴウキがいろいろと仕事を押し込まれて全てをこなすまでにそこそこ時間がかかり、その間にスミレとリノアの誤解は勝手な妄想で膨らんでいた。遅くなったことでいろいろと邪推し始め、そして実際にゴウキの顔を見た瞬間に理不尽にも爆発したのだ。

実際はノーラは今度から世話になるギルドの事務員で、抱っこしてきたのは急いで彼女を連れてくるため、そこまで誤解が晴れたところで、ようやくお転婆二人娘は落ち着いたのだった。


「それはさておき、これで明日からでもアタシ達パーティー組めるってことじゃんね」


全くびびらせんなよー、とスミレは胸を撫でおろす。


「さて置いていいのかはともかく、そうだ。心配かけたが、俺は間違いなく冒険者登録されたし、これで正式にパーティーを組むことができる」


これを伝えたくてゴウキはここに来た。
だが、他にも伝えなくてはならない大事なことがあった。


「だが、問題が一つある。収入的な話だ」


生活に直結する話、ゴウキは今日はこの話をして、仲間の了承を得ねばならなかった。


「俺が登録することが出来たフォースギルドは、この王都で主流のセントラルギルドとは反目し合ってる組織だ。だから普通の冒険者より割の悪い依頼しか出来なかったり、素材とかの買い取りだってセントラルより安い値がつくかもしれん。経済的には、並の冒険者より苦労することになると思う」


ゴウキは本日だけで20件弱の雑用依頼をこなしたが、食事抜きで格安宿屋5日分くらいの報酬だった。
セントラルギルドに睨まれているわけでもなく、若い上に実力もあるのならゴウキと組んでわざわざ損するのは物好きとしか言いようがない。
ゴウキはスミレ達に後悔してほしくないがために、最初にこれを話していた。


「あと、フォースギルドに登録すれば、それだけでセントラルギルドを敵に回すことになるかもしれない・・・」


ゴウキを執拗に追いつめるセントラルが、ゴウキに倣って冒険者登録をした者を放置するとは思えなかった。
忠告が来て、後に制裁措置・・・それくらいのことはしてくるのではないかとゴウキは考えている。

だが、それでももし自分と組んでくれるなら・・・そう言おうとしたゴウキの言葉は遮られた。


「あ~、アタシは難しいことはいいよ。とりあえずゴウキと組むからよろしく」


「そんなことよりパーティー名のほう考えません?」


「ゴウキと一緒なら・・・なんでもいい」



スミレ達の迷いない言葉にゴウキは胸がいっぱいになり、一瞬言葉に詰まった。
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