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追放後
実は訳あり女
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ゴウキがノーラを抱きかかえたまま全力で移動した結果、カムシンへはノーラが予定していた時間よりも遥かに早く到着することが出来た。
道中目撃者達は唖然とし、自身の目を疑った。この世界には身体能力の高い者はたくさんおれど、人ひとり抱えての高軌道をこなす者はそうそういないのである。
後になって噂が巡り、それがゴウキだったとわかると「なんだゴウキか。それならまぁ」と一部の人間だけが納得した。
「あっ、あああああありがとうございます」
顔を真っ赤にしながらお礼を言ったノーラは深呼吸一つして落ち着いてから、カムシンの中へ入っていった。
スイッチを切り替えたのか、直前までわたわたしていたとは思えないほど凛としているその様に「流石元セントラルギルドの職員だな」とゴウキは関心する。
「おや?」
マスターがゴウキとノーラの組み合わせを見て意外そうな顔をする。
「新しい女かい?」
「違う。新しいってなんだ。フォースギルドの職員だ」
「あぁ、そういえば頼んでたな。もう来てくれたのか」
カムシンのマスターが場末も場末のフォースギルドに仕事を依頼したことが意外でならなかったゴウキだが、とりあえず仕事の話を部外者の自分が聞いてはいけないなと思い、一旦店の外に出る。
マスターとノーラはそのままカウンター越しに商談を始めだし、ゴウキはそれを煙草に火をつけながら眺めていた。背筋を伸ばし凛として商談をしているノーラを見ながら「あれだけしっかりしていて仕事が出来そうなのに、どうしてセントラルギルドを辞めたのだろう」などと気にかかっていた。
どのような待遇かはわからないが、少なくともフォースギルドがセントラルギルドほどの厚遇でノーラを迎えたとは思えなかった。
ゴウキが煙草を吸いながらそんなことを考え、しばらく待っているとやがてノーラがやってくる。
「お待たせしました。それでは帰りましょうか・・・その・・・今度は普通によろしくお願いします」
商談が終わり、安堵したような表情のノーラに頷くと、ゴウキは彼女の横を歩いて元いたフォースギルドへ戻る。
カムシンがフォースギルドに何の仕事を依頼したのか気にはなったが、聞いたところで守秘義務があるから答えてはくれないだろうからゴウキは黙っていた。
しばらく歩いているとノーラが口を開く。
「ゴウキさん、今日はフォースギルドに登録してくれて本当にありがとうございました」
「いや、こちらこそ助かったぜ」
収入面に若干不安なところはあるが、それでも冒険者として活動できるか否かは大きな違いだ。ゴウキは勧誘してくれたノーラに感謝していた。
「弱小も弱小のフォースギルドに登録してくれる冒険者の人って本当に少ないんです。いても訳ありの人とかで・・・だから、明日からゴウキさんにはたくさん頑張ってもらいたいです」
「あぁ、任せとけ」
職すら見つからない可能性があったのだ。それを思うと薄給でも頑張らねばとゴウキは思う。
「それにしても・・・俺を登録してくれたのは助かったが、フォースギルドはセントラルの圧力とか大丈夫なのか?」
圧力の根源であるゴウキは「自分が言うのもなんだが」と思いつつも聞かずにはいられなかった。それだけが心残りだったのだ。
「うーん、ギルドマスターは本当にセントラルのことが嫌いですからね。勢いというのもあるとは思います。それでも、圧力を受けても受けたなりにのらりくねりとやっていけるだけのコネとかを持っているみたいです」
ああ見えて凄いんですよと握りこぶしを作ってそういうノーラに、ゴウキは安堵して微笑む。
「実を言うと私もセントラルからの圧力で再就職が困難だったけど、ギルドマスターが雇ってくれたんですよ」
「え・・・?」
それからゴウキは、ノーラから衝撃的な話を聞くことになった。
道中目撃者達は唖然とし、自身の目を疑った。この世界には身体能力の高い者はたくさんおれど、人ひとり抱えての高軌道をこなす者はそうそういないのである。
後になって噂が巡り、それがゴウキだったとわかると「なんだゴウキか。それならまぁ」と一部の人間だけが納得した。
「あっ、あああああありがとうございます」
顔を真っ赤にしながらお礼を言ったノーラは深呼吸一つして落ち着いてから、カムシンの中へ入っていった。
スイッチを切り替えたのか、直前までわたわたしていたとは思えないほど凛としているその様に「流石元セントラルギルドの職員だな」とゴウキは関心する。
「おや?」
マスターがゴウキとノーラの組み合わせを見て意外そうな顔をする。
「新しい女かい?」
「違う。新しいってなんだ。フォースギルドの職員だ」
「あぁ、そういえば頼んでたな。もう来てくれたのか」
カムシンのマスターが場末も場末のフォースギルドに仕事を依頼したことが意外でならなかったゴウキだが、とりあえず仕事の話を部外者の自分が聞いてはいけないなと思い、一旦店の外に出る。
マスターとノーラはそのままカウンター越しに商談を始めだし、ゴウキはそれを煙草に火をつけながら眺めていた。背筋を伸ばし凛として商談をしているノーラを見ながら「あれだけしっかりしていて仕事が出来そうなのに、どうしてセントラルギルドを辞めたのだろう」などと気にかかっていた。
どのような待遇かはわからないが、少なくともフォースギルドがセントラルギルドほどの厚遇でノーラを迎えたとは思えなかった。
ゴウキが煙草を吸いながらそんなことを考え、しばらく待っているとやがてノーラがやってくる。
「お待たせしました。それでは帰りましょうか・・・その・・・今度は普通によろしくお願いします」
商談が終わり、安堵したような表情のノーラに頷くと、ゴウキは彼女の横を歩いて元いたフォースギルドへ戻る。
カムシンがフォースギルドに何の仕事を依頼したのか気にはなったが、聞いたところで守秘義務があるから答えてはくれないだろうからゴウキは黙っていた。
しばらく歩いているとノーラが口を開く。
「ゴウキさん、今日はフォースギルドに登録してくれて本当にありがとうございました」
「いや、こちらこそ助かったぜ」
収入面に若干不安なところはあるが、それでも冒険者として活動できるか否かは大きな違いだ。ゴウキは勧誘してくれたノーラに感謝していた。
「弱小も弱小のフォースギルドに登録してくれる冒険者の人って本当に少ないんです。いても訳ありの人とかで・・・だから、明日からゴウキさんにはたくさん頑張ってもらいたいです」
「あぁ、任せとけ」
職すら見つからない可能性があったのだ。それを思うと薄給でも頑張らねばとゴウキは思う。
「それにしても・・・俺を登録してくれたのは助かったが、フォースギルドはセントラルの圧力とか大丈夫なのか?」
圧力の根源であるゴウキは「自分が言うのもなんだが」と思いつつも聞かずにはいられなかった。それだけが心残りだったのだ。
「うーん、ギルドマスターは本当にセントラルのことが嫌いですからね。勢いというのもあるとは思います。それでも、圧力を受けても受けたなりにのらりくねりとやっていけるだけのコネとかを持っているみたいです」
ああ見えて凄いんですよと握りこぶしを作ってそういうノーラに、ゴウキは安堵して微笑む。
「実を言うと私もセントラルからの圧力で再就職が困難だったけど、ギルドマスターが雇ってくれたんですよ」
「え・・・?」
それからゴウキは、ノーラから衝撃的な話を聞くことになった。
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