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追放後

転機

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「はぁ~~」


ゴウキは一人で大きな溜め息をついた。
日が暮れるまでゴウキ達は歩き続け王都各所の全てのギルドを回ったが、どこも結果は同じで全く成果が無かったのだ。
「とりあえず今日のところは飲もうぜ」というスミレ達の誘いをやることがあるからと断り、ゴウキは一人で第4区へ向けて重い足取りで歩いていた。


(まさか本当にここまで徹底されているとは・・・)


好意的ではないことはわかっていたが、まさかここまでギルドが本気で自分を潰したいと思うほどに恨みを買っているとは思っていなかった。ゴウキはそんな自分の考えの甘さを猛省する。
当面、いや、二度と冒険者として活動することは出来ないかもしれない。
平民で喧嘩しか取り柄のない自分が、唯一胸を張って社会に貢献できるのが冒険者だ、天職だったとゴウキは思っていた。だが、それが突然ギルドからの圧力で理不尽に閉ざされた。
勇者パーティーを解雇されることがあっても、自分を慕ってくれる仲間とパーティーを組んでいけるなら、それはそれでいいじゃないかと甘い考えを抱いていた。故に足元がおろそかになった。

ゴウキは自分を慕い、ずっとパーティーを組むために待っていてくれていたスミレ達に申し訳が立たなくなり、特に急ぎの用事があるわけではないが、あることにして彼女らと一旦離れた。一人で考える時間が欲しかった。


(とりあえず孤児院の院長に、近況報告がてらしばらく仕送りは無理になると伝えないとな)


ゴウキの足は孤児院に向いていた。
そしてもうすぐ第4区に差し掛かろうとしたときだ。


ドンッ


建物の影から小走りしていた何者かが出会いがしらにゴウキの胸に頭からぶつかっていた。


「いたっ」


ぶつかった女は悲鳴を上げ、後ろによろけて倒れそうになるのを、ゴウキはすかさす抱き寄せるように受け止める。


「すまんな、大丈夫か?」


「す、す、すみませぇぇぇん!!急いでいて良く見てませんでしたぁぁ!!」


女はゴウキに対し半泣きになって謝る。似たような状況がこれまでに何度かあったが、強面のゴウキがいきなり間近に迫ると怯えられるーー そんなことをゴウキは何度か経験していたので、今回も怯えられたかと思いすぐに女の体を離し距離と取る。するとーー


「あれ?もしかしてゴウキさんじゃないですか?」


ぶつかった女はゴウキの顔を見てそう言った。
ゴウキはすぐには相手が誰なのかわからずにじっと見る。青顔もボブカットに、ギルド職員のようなスーツ姿・・・もう少しで思い出せそうなのだが、といったところで中々思い出せなかった。


「あぁ、少し雰囲気変わったからわからないかもしれませんね。私、セントラルギルドの職員やっていたことがありまして、ゴウキさんとは何度かお会いしているんですよ」


「あーー」


一瞬ではわからなかったが、そう言われて改めてマジマジと女の顔をゴウキは見つめる。
ようやくゴウキの記憶の中の人間と一致した。彼女はゴウキがセントラルギルドで接した数少ないまともな職員であった。
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