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プロローグ
仲間割れ
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「「「!!」」」
クレア、ミリア、マリスが戦慄する。
ゴウキがリフトに前蹴りをぶちかましたこともそうだが、ゴウキの表情はこれまでに勇者パーティーの誰にも見せたことの無いほど、殺気と怒りに満ちていたことに衝撃が走った。
「この・・・!」
瞬間、それまで沈黙を貫いていたマリスがリフトを蹴ったゴウキに激昂し、持っていた剣を鞘から抜きかける。だが
「やめなさい!!」
そこから先はクレアの一喝によって止められる。
ここ最近の頼りない雰囲気ばかり醸し出していたクレアからは想像もできないほどの大声であった。
シン・・・と、部屋が一気に静まり返る。
蹴られたリフトは吹き飛んだまま壁に直撃し、綺麗に『大』の字の形に壁穴を空けて壁の向こう側へ姿を消した。
「リフトさん!」
我に返ったマリスが血相を変えてリフトの身を案じる。続いて駆け寄るミリア。
「・・・・・・」
壁の向こうはベランダであったが、リフトはどうやらそこでノビてるようだ。
「ゴウキッ!」
パシン
クレアの渾身の張り手がゴウキの頬を打つ。乾いた良く響く音に、部屋に残っていたミリアはビクッと肩を震わせる。
「どうしてっ・・・!!」
クレアは怒りのあまりなのか悲しみのあまりなのか声を震わせてゴウキに問う。だが、ゴウキはいたって冷静にそんなクレアを見下ろした。
「リフトは4区の人間を・・・俺の家族や友達を貶した。それが許せない」
孤児院の連中は家族であるし、ディックは大事な友達だ。それだけでなく、4区にはゴウキが大切に思っている、親しくしている人間がたくさんいる。彼らをひとまとめに貶されたことにゴウキは激昂した。
「・・・っ」
ゴウキの言葉を聞いて、クレアは思わず押し黙る。4区の孤児院の人々を含め、クレアもゴウキを通じて何人か交流がある。そんな彼女から見ても、確かに行き過ぎた発言であった。それを咎めるのは本来自分の役目であり責任であるのに、何も出来ずにゴウキの暴力を許してしまった・・・その事実にクレアが呆然としていると、やがてフラフラとしながらもリフトがマリスに支えられながらやってきた。どうやら意識が戻ったようだ。
「いきなり実力行使か。手厳しいことを言われるだけのことはあるんじゃないか?」
リフトはゴウキの顔を正面から見据えると、吐き捨てるように言った。
「まだ言うつもりならいくらでも付き合ってやるぜ。今度は加減できるかわからねーから、ノビるだけならまだしもうっかりチビるなよ?」
ゴウキがそう言って口角を上げると、リフトが歯ぎしりする。
「今のは不意打ちだ。本当ならこんなことにはならない」
「これが実戦で俺にその気があったらお前死んでるだろ。なにしろ呑気に一撃でノビてたんだからよ?何を言おうが負け犬の遠吠えだな」
「貴様ぁ!!」
リフトが自分の得物に手をかける。その時だった。
「「一体何事ですか!?」」
外から力強く扉を叩く音が聞こえた。騒音を聞いて駆け付けた巡回中の憲兵である。
この日、勇者パーティーは更なる悪材料を敵対新聞社に与えることになった。
クレア、ミリア、マリスが戦慄する。
ゴウキがリフトに前蹴りをぶちかましたこともそうだが、ゴウキの表情はこれまでに勇者パーティーの誰にも見せたことの無いほど、殺気と怒りに満ちていたことに衝撃が走った。
「この・・・!」
瞬間、それまで沈黙を貫いていたマリスがリフトを蹴ったゴウキに激昂し、持っていた剣を鞘から抜きかける。だが
「やめなさい!!」
そこから先はクレアの一喝によって止められる。
ここ最近の頼りない雰囲気ばかり醸し出していたクレアからは想像もできないほどの大声であった。
シン・・・と、部屋が一気に静まり返る。
蹴られたリフトは吹き飛んだまま壁に直撃し、綺麗に『大』の字の形に壁穴を空けて壁の向こう側へ姿を消した。
「リフトさん!」
我に返ったマリスが血相を変えてリフトの身を案じる。続いて駆け寄るミリア。
「・・・・・・」
壁の向こうはベランダであったが、リフトはどうやらそこでノビてるようだ。
「ゴウキッ!」
パシン
クレアの渾身の張り手がゴウキの頬を打つ。乾いた良く響く音に、部屋に残っていたミリアはビクッと肩を震わせる。
「どうしてっ・・・!!」
クレアは怒りのあまりなのか悲しみのあまりなのか声を震わせてゴウキに問う。だが、ゴウキはいたって冷静にそんなクレアを見下ろした。
「リフトは4区の人間を・・・俺の家族や友達を貶した。それが許せない」
孤児院の連中は家族であるし、ディックは大事な友達だ。それだけでなく、4区にはゴウキが大切に思っている、親しくしている人間がたくさんいる。彼らをひとまとめに貶されたことにゴウキは激昂した。
「・・・っ」
ゴウキの言葉を聞いて、クレアは思わず押し黙る。4区の孤児院の人々を含め、クレアもゴウキを通じて何人か交流がある。そんな彼女から見ても、確かに行き過ぎた発言であった。それを咎めるのは本来自分の役目であり責任であるのに、何も出来ずにゴウキの暴力を許してしまった・・・その事実にクレアが呆然としていると、やがてフラフラとしながらもリフトがマリスに支えられながらやってきた。どうやら意識が戻ったようだ。
「いきなり実力行使か。手厳しいことを言われるだけのことはあるんじゃないか?」
リフトはゴウキの顔を正面から見据えると、吐き捨てるように言った。
「まだ言うつもりならいくらでも付き合ってやるぜ。今度は加減できるかわからねーから、ノビるだけならまだしもうっかりチビるなよ?」
ゴウキがそう言って口角を上げると、リフトが歯ぎしりする。
「今のは不意打ちだ。本当ならこんなことにはならない」
「これが実戦で俺にその気があったらお前死んでるだろ。なにしろ呑気に一撃でノビてたんだからよ?何を言おうが負け犬の遠吠えだな」
「貴様ぁ!!」
リフトが自分の得物に手をかける。その時だった。
「「一体何事ですか!?」」
外から力強く扉を叩く音が聞こえた。騒音を聞いて駆け付けた巡回中の憲兵である。
この日、勇者パーティーは更なる悪材料を敵対新聞社に与えることになった。
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