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プロローグ
超剣豪デニス
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デニスは元は王都の貴族の三男である。
幼少の頃から引っ込み思案で運動も苦手であったが、ある日東方からの武芸者が街中で見せた剣術を目の当たりにし、すっかりその剣術にほれ込んで家の反対を押し切り、武芸者に弟子入り。東方に帰るという武芸者について行き、本格的に剣術を学んで王都に帰ってきた。
実家からは既に絶縁されていたので何一つ支援はなかったが、その類稀なる剣術で彼は特待生として王立学園に入学する。入学した理由は「卒業すれば潰しがきくようになるから」であるそうだ。
ちなみに剣術の腕前は国内でも間違いなく上位に入るもので、学園の剣術科の教師すら舌を巻くレベルだ。
学園においてはただの一人も彼に試合で勝ったものはいないというそんなデニスに卒業後いたるところからスカウトが来ないわけがなかったが、王室の近衛兵、高位貴族の騎士、学園の剣術教官など、高収入なそれらの魅力的な話を彼は全て断った。
それは彼が極度の人見知りだからである。
「で、デニスの方は今でも美術館の警備やってるんだっけか?」
ゴウキの問いにデニスは頷く。
「あの仕事は立っているだけで誰とも話さなくていいからね・・・」
他人と話をすること自体が苦手なデニスは「話さなくて良い」というのみの理由で仕事を選んだ。
剣術を生かせるわけでもなく、決して高収入でもないが、あまり他人と話す時間が長いと緊張のあまり吐いてしまうという難点がある彼にはその仕事しか就きようがなかったのだ。
「勿体ないな。あれだけの腕なのに」
ゴウキはデニスの剣の腕を知っている。正直なところ『剣聖』と呼ばれるマリスよりも剣の腕は上なんじゃないかとさえ思っていた。
「そう思うなら、ゴウキがパーティーを結成して俺を使ってくれないか」
フッと口元を僅かに歪めながらそういうデニスに「う・・・む・・・」と何とも言い難いといったリアクションをするゴウキ。スミレもリノアもデニスも、それぞれにゴウキに同じことを乞うのが常であった。勇者パーティーの異物として周囲から扱われているのに、そんな自分を求めてくれているーー ゴウキにとってそれはすごく嬉しく思うし、もしそんな道があったとしたらー そう考えたことも一度や二度ではなかった。
「・・・すまん。俺はクレアやミリアを支えてやりたい」
それでも、ゴウキの口から出るのはいつもの言葉。
三人はわかっていた答えを聞いて諦めたように小さく溜め息をつく。
「気が変わったらいつでも言ってほしいな」
デニスはそう言うに留めた。
自分達の誘いを受けてくれないのは残念だが、ブレずに幼馴染のサポートをしたいと願うゴウキのそんなところに三人は惹かれているからだ。
幼少の頃から引っ込み思案で運動も苦手であったが、ある日東方からの武芸者が街中で見せた剣術を目の当たりにし、すっかりその剣術にほれ込んで家の反対を押し切り、武芸者に弟子入り。東方に帰るという武芸者について行き、本格的に剣術を学んで王都に帰ってきた。
実家からは既に絶縁されていたので何一つ支援はなかったが、その類稀なる剣術で彼は特待生として王立学園に入学する。入学した理由は「卒業すれば潰しがきくようになるから」であるそうだ。
ちなみに剣術の腕前は国内でも間違いなく上位に入るもので、学園の剣術科の教師すら舌を巻くレベルだ。
学園においてはただの一人も彼に試合で勝ったものはいないというそんなデニスに卒業後いたるところからスカウトが来ないわけがなかったが、王室の近衛兵、高位貴族の騎士、学園の剣術教官など、高収入なそれらの魅力的な話を彼は全て断った。
それは彼が極度の人見知りだからである。
「で、デニスの方は今でも美術館の警備やってるんだっけか?」
ゴウキの問いにデニスは頷く。
「あの仕事は立っているだけで誰とも話さなくていいからね・・・」
他人と話をすること自体が苦手なデニスは「話さなくて良い」というのみの理由で仕事を選んだ。
剣術を生かせるわけでもなく、決して高収入でもないが、あまり他人と話す時間が長いと緊張のあまり吐いてしまうという難点がある彼にはその仕事しか就きようがなかったのだ。
「勿体ないな。あれだけの腕なのに」
ゴウキはデニスの剣の腕を知っている。正直なところ『剣聖』と呼ばれるマリスよりも剣の腕は上なんじゃないかとさえ思っていた。
「そう思うなら、ゴウキがパーティーを結成して俺を使ってくれないか」
フッと口元を僅かに歪めながらそういうデニスに「う・・・む・・・」と何とも言い難いといったリアクションをするゴウキ。スミレもリノアもデニスも、それぞれにゴウキに同じことを乞うのが常であった。勇者パーティーの異物として周囲から扱われているのに、そんな自分を求めてくれているーー ゴウキにとってそれはすごく嬉しく思うし、もしそんな道があったとしたらー そう考えたことも一度や二度ではなかった。
「・・・すまん。俺はクレアやミリアを支えてやりたい」
それでも、ゴウキの口から出るのはいつもの言葉。
三人はわかっていた答えを聞いて諦めたように小さく溜め息をつく。
「気が変わったらいつでも言ってほしいな」
デニスはそう言うに留めた。
自分達の誘いを受けてくれないのは残念だが、ブレずに幼馴染のサポートをしたいと願うゴウキのそんなところに三人は惹かれているからだ。
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